脳内イメージが可視化できる? 期待したいIoT、AIスタートアップ5社
第47回NEDOピッチ「IoT、AI Ver.」レポート
経済産業省の研究開発型スタートアップ支援
スタートアップ5社によるピッチに続いて、経済産業省 産業技術環境局 技術振興・大学連携推進課 の陶山武史氏より、経済産業省による研究開発型スタートアップ支援事業について紹介がなされた。
新技術が高度化・複雑化・専門化している現代において、新事業の創出で世界に伍していくためには、高度成長時代にあった研究から営業までを一社で行う一気通貫型のイノベーションエコシステムはスピード感やスケール感において間尺に合わなくなってきている。そこで大学や国研が持つ技術シーズを、スピード感や事業リソースを共有するスタートアップと事業会社が連携して価値共創を行い、グローバル市場を目指したサービス・製品の開発を行う、という産学「融合」によるシームレスなイノベーションエコシステムが提案された。
この時重要になるのがスタートアップと大企業の連携だが、特に既存の市場や顧客を持つ大企業と新たな市場や顧客を目指すスタートアップの間でカニバリズムが発生する可能性がある。しかし大企業にとってはイノベーションのジレンマを克服する必要があり、スタートアップにとっては自らのイノベーションの破壊力を最大化するためのリソースが必要である。そこで両者が連携し、相互補完によるオープンイノベーションを実現することこそが、それぞれが目指すゴールの実現へのカギとなる。
しかし実際には、欧米に比べて日本のオープンイノベーションは立ち遅れてしまっている。これはスタートアップ・大企業双方が両者の連携における課題を抱えているためで、特に契約や知財の扱いなどの点で、大企業とスタートアップのカルチャーの違いが顕在化してしまい、連携を難しくしている。
そこで2020年6月に特許庁と経済産業省が連携して大企業とスタートアップの間の標準的なモデル契約書(新素材編)を作成した。さらに2021年3月には連携における問題事例を集めて公正取引委員会と連名で独禁法上の考え方の整理と解決の方向性を示したガイドラインを作成し、モデル契約書(AI編)とともに公開した。
モデル契約書は4つの契約種別ごとに仮想のスタートアップを設定し、交渉上の留意点や相場観を示したものとなっている。具体的な想定シーンを設定しているため、実践的な契約交渉の考え方が記載されているが、ケースによっては最適な契約内容とならない場合があり、注意が必要となっている。
モデル契約書に設定されたケースとして、スタートアップと事業会社の間のAI分野における知財の帰属と利用についての契約がある。そこでは両者の持つリソースや事業スタイルの違いを整理するとともに、交渉のポイントや解決方針が示されている。
モデル契約書及びガイドラインは経済産業省並びに特許庁のHPからダウンロードができる。スタートアップと大企業の連携によるオープンイノベーションを目指す企業は、是非内容を確認して欲しい。