ユーザー体験の視点から考える
スマートフォンは言うまでもなく、我々の生活に欠かせない存在になりました。特にAmazonのおかげで、モバイルからのEコマース体験は向上し続けており、これに追随する形で各社のショッピングに関するユーザー体験も良くなり続けています。
しかし今まで窓口で行なわれていたこと、例えば銀行や自治体での手続き、住宅の購入やこれにまつわるローンの契約などは、まだまだ対面もしくは郵送での手続きが続いてきました。同様に、自動車の購入もまた、ディーラーという場所と接客によってユーザー体験が構築されていた領域です。
Teslaの購入が終わると、マイページにタスクリストがあらわれます。「納車場所」「郵送先住所」「登録内容」「下取り」がその中身。これを順番に埋めていくと納車準備が終わります。
程なくして封筒が届き、「登録内容」のために揃えるべき書類を取得して返信するように指示が出されます。印鑑証明や前のクルマの登記変更の委任状、車庫証明取得のための駐車場の地図などの書類を揃えるのですが、これらはスマホの上ではできません。
もちろんセブン-イレブンとマイナンバーカードを駆使して、ほとんどの書類をコンビニで取り寄せることができ、十分楽でした。しかし紙の書類のコンビニ取得と返送が面倒だと感じるぐらい、Teslaのマイページでの作業は簡単さを極めていたのです。
車の下取りにしても、マイページに車の外観、内装、エンジンがかかっている様子と走行距離の写真をスマホからアップすれば査定完了。想定していた買い取り相場より少し高い価格が提示され、すぐに承認しました。
もしかしたら手数は普通の車のディーラーよりも多いかもしれません。しかし「マイページ」で進捗を自分で管理する方が分かりやすく、わずらわしさが少ない点もまた、今回Teslaの購入体験を進めてみてわかった結果でした。もちろん全部おまかせが良いという人もいるかもしれませんが、筆者にとっては心地よいものだったのです。
(つづく)
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。モバイルとソーシャルにテクノロジー、ライフスタイル、イノベーションについて取材活動を展開。2011年より8年間、米国カリフォルニア州バークレーに住み、シリコンバレー、サンフランシスコのテックシーンを直接取材。帰国後、情報経営イノベーション専門職大学(iU)専任教員として教鞭を執る。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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