アドバイス:1年分の家賃と生活費が目安です
フリーランスを悩ませる「どこまで経費が積めるか問題」について、高橋創税理士がアンサー。
税金を減らしたいという相談を受けることが多いです。考えられる対策を単純化すると「売り上げを減らすか」「経費を増やすか」の二択。(もうひとつ、「(iDeCoなどで)控除を増やす」という施策もありますが、それはまた別の機会に……)
売り上げを減らそうと、仕事を断ってしまうと、事業が縮小するなど将来に差し障ってしまいますので、ここは経費を増やすしかありません。
確定申告で決まる「所得税」は課税所得に応じて税率が決まります。例えば、売り上げが500万円で、経費が100万円だった場合、差し引き400万円があなたの事業所得になります。この400万円に各種控除(医療費など)を引いたお金が、課税所得になるのです。
経費についてですが、その範囲はかなり広く、デザイナーのあなたの場合、パソコンや資料、文房具、打ち合わせのカフェ代、通信費、交通費などのほかに、自宅と仕事場を兼ねているのなら家事按分をして家賃や光熱費などの一部も経費として計上できます。
なかには納税額を圧縮するために、生活費のすべてを経費として計上してしまう人もいるのです。しかし、それをしてしまうと、税務署から目をつけられる可能性があります。なぜなら「生活できていますか?」と不審がられてしまうから。
手元に残す事業所得(収入)の目安は1年分の家賃と生活費程度にしておくといいでしょう。あなたの場合、会社員時代に毎月20万円弱のお金でやりくりしていたので、その程度を目安にするといいかもしれませんね。
監修者紹介――高橋創税理士(髙橋創税理士事務所)
1974年東京都生まれ。東京都立大学経済学部卒業。専門学校で所得税法の講師,会計事務所勤務を経て2007年に新宿で髙橋創税理士事務所を開設。税理士業の傍ら新宿ゴールデン街のバー「無銘喫茶」の経営なども行う。
著書に『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(ダイヤモンド社,2021年)、『「知りたい!」がすぐひける 小さな会社の経理・人事・総務』(西東社,2022年)などがある。
髙橋創税理士事務所 https://takahashi-hajime.jp/

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