ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第629回
Intel Architecture Day 2021で発表された11のテーマ インテル CPUロードマップ
2021年08月23日 12時00分更新
Xe Core/Xe HPG
上の説明でXe CoreとXe HPGは切り離して説明したが、Xe GPUの基本単位であるXe Coreの構成が、Xe HPGとXe HPCで異なるので、まずはXe HPG側の説明をしよう。Xe HPG向けのXe Coreは、16個のVector Engineと16個のMatrix Engineを搭載した処理ユニットである。
Xe GPUの基本的な構成は昨年連載579回で紹介したが、そこで説明したEU(Execution Unit)が、このVector Engine相当になる。
これとは別に、Matrix Engineと呼ばれるものが新たに追加されている。このMaterix Engine、昨年で言えば連載579回に出てくるEU内のXMX(Matrix Extention)に相当するものだが、今回はEUの外に出ている(のか、Vector Engine+Matrix Engine=EUなのか判断しにくい)構造だ。このMatrix EngineはXe LPには存在しなかったものである。
このXe Coreを4つ積層したものが、1つのRender Sliceとなる。どうも最小構成はこの1 Sliceらしい。もちろんこれでは64EU相当なので、動作周波数にもよるが、おおむね描画性能はGeForce GTX 1030程度だろうか。
上位モデルでは8 Sliceまで増えるとされる。これだと512EU相当になり、FP32換算だと4096演算/サイクルが可能になる。動作周波数次第ではあるが、これはトップエンドとは言い難い。もう少し上位のモデルも、あるいは用意されているのかもしれない。
ちなみにこのXe HPGはTSMCのN6プロセスで製造される。ニュース記事でも報じられたように、2022年第1四半期に投入される最初の製品はAlchemistというコード名だが、これに続いてBattlemage/Celestial/Druidという、向こう3世代の製品が予定されていることが改めて報じられた。
XeSS
Xe HPGに絡んで同時に発表されたのがXeSS。要するにスーパーサンプリングである。問題はこれをどうやって計算するかだが、XeSSはDLSS同様にAIを利用してこれを実施するとした。
このAIをどこで行なうかだが、先にXe HPGで出てきたMatrix Engineで推論処理をして、ここでは対応するという形らしい。要するにXe HPGのMatrix EngineはNVIDIAのTensor Core相当というわけだ。これを利用することで、4K High Qualityが1080p相当の描画負荷(+α)で実施できる、と説明している。このXeSS SDKは今月中に提供可能になるそうだ。
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