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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第811回

Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ

2025年02月17日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 IEDMの話は一週お休みさせていただき、インテルの製品アップデートをお届けする。1月30日、インテルは2024年第4四半期、および2024年通期の決算を発表した。この決算発表の中で暫定共同CEOであるMichelle Johnston Holthaus氏とDave Zinsner氏が語った内容がインテルのウェブサイトにまとまっている。

 この説明でPanther Lake、Nova Lake、Clearwater Forest、Falcon Shoresの製品ロードマップが語られた。

Panther Lakeは今年後半にIntel 18Aを利用して発売予定

 このPanther LakeはIntel 18Aの最初の量産顧客となる。ただし現状ではまだ量産は始まっていない。というのはHolthaus氏が「And I look forward to being in production in the second half as we demonstrate the benefits of our world-class design and process technology capabilities. 」(世界トップクラスの設計およびプロセス技術のメリットの実証となる、下半期の生産開始を楽しみにしている)と語ったからだ。量産開始が今年後半というのは、予定通りと言えば予定通りである。

 ただこのIntel 18Aの量産開始は、極めて限定的な数量になるのではないかと予想される。というのは先のコメントに続き「2026 is even more exciting from a client perspective as Panther Lake achieves meaningful volumes and we introduce our next-generation client family code-named Nova Lake.」(2026年は、Panther Lakeが意味のある生産量を達成し、さらに次世代クライアントファミリーであるコードネーム”Nova Lake”を導入するという点で、クライアントの視点からさらにエキサイティングな年となる)と続けているからだ。

 つまり2025年後半にインテルはIntel 18Aの量産こそ開始するものの、この生産量は限られたものになっており、本格量産に入るのは2026年になる、と暗に示唆しているからだ。

 ここで思い出すのがMeteor Lakeである。インテルが2023年12月に正式発表した初代Core Ultraであるが、これはIntel 4を使った最初の(そして最後の)製品である。Meteor Lakeの量産開始に先立って2023年8月にマレーシアで開催されたTech Dayのグループインタビューを連載734回でお届けしている。この8月の時点で以下のことが明らかにされている。

  • Meteor LakeのCPUタイルは全量インテルのD1で製造している。
  • まだIntel 4の量産工場であるFab 34は量産段階に入っていない。

 おそらくIntel 18Aも同様の状況なのだろう。すなわち2025年後半に入って量産がスタートするのはオレゴンのFab D1であり、量産工場であるアリゾナのFab 52/62はまだ完成したという発表がないあたり、今年は(2023年におけるFab 34と同様に)テストチップを流している状況かと思われる。Holthaus氏の言う"meaningful volumes"はこのFab 52による量産が開始されることを意味していると思われるが、これは2026年以降になるだろう。

 もっともこれで困るか? と言えばそれほど困らないだろう。まだPanther Lakeの実物を確認できていないので断言できないが、おそらくMeteor Lake以降で実装されているチップレット構造になるのは間違いない。

 Meteor LakeのCPUタイルが8.9×8.3mm、Lunar LakeのCPUタイルが16.3×8.6mmと推定できている。つまり1枚の300mmウェハーからMeteor Lakeは852個、Lunar Lakeなら436個取れる計算である。

 Panther Lakeのコンピュートタイル(になるのかCPUタイルになるのかはハッキリしないが、コンピュートタイルのような気がする)の大きさがLunar Lakeと同じだとしても、1枚あたり436個取れるので、これを月産1000枚製造したとしても44万個弱のコンピュートタイルがとれる計算だ。3ヵ月くらいあれば100万個程度の量産は難しくないだろう(歩留まり次第ではあるが)。Panther Lakeのリリースにはとりあえず十分な程度の数が用意できると考えられる。

 ついでに言えばIntel 18Aの量産工場としては他にオハイオのFab 27があるはずなのだが、こちらは当初2025年中にオペレーションを開始する予定だったのが、2027年ないし2028年に遅れるようだ。

 というのは、2024年3月1日にインテルがオハイオ州開発局(Ohio Department of Development)に提出したレターが公開されており、これによればFab 27に属する2つのFab(レターではFab 1/Fab 2と示されている)はどちらもCompletion Data(建設や設備搬入が完了する日付)が2026~2027年、Operation Data(製造を開始する日付)が2027~2028年になる「予定」であるとしている。

 おそらくは最初にIntel 18Aの量産を開始する施設はFab 52になるであろうし、それは2026年に入ってからになるだろう。

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