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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第60回

紛失防止トラッカーなどにも応用できそうだ:

アップルがiPhone 11に仕込んだ「U1」チップの秘密

2019年09月25日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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 9月20日に世界中で発売されたiPhone 11、iPhone 11 Proシリーズ。2019年のiPhoneは、他社とは少し異なるアプローチでのカメラ強化、すなわち、すべてのカメラを同時駆動しながらの画質向上につとめました。

 iPhoneの弱点だった暗所撮影はナイトモードで克服し、むしろ他社よりも色の再現性で優れているほどです。また、スマホ最速のA13 Bionicを核とするプロセッサを活用して、スマートフォンのカメラ全体の弱点だった解像感の向上にも、今後のソフトウェアアップデートで着手します。

 デザインは完全にリーク通りで、今年もiPhone発売日からサードパーティー製ケースが購入できるようになりました。しかし今年のiPhoneは、もしかしたらケースなしでもいいのではないか、というほど頑丈で傷つきにくいガラスボディを実現しており、こちらもアップルのコーニングに対する2億ドルの投資効果といえるでしょう。ちなみに先週、さらに2億5000万ドルの追加投資が発表されました。

●まだ有効化されていない機能はいくつもある

 アップルは新型iPhoneに合わせてiOS 13をリリースしました。しかし翌週すぐにソフトウェアアップデートをして、さらにiOS 13.1も9月25日に配信開始。つまり、iPhone 11のポテンシャルはまだまだあり、発売された時点での評価で終わりではない、ということです。

 ハードウェアをソフトウェアで進化させる手法はiPhoneが採用した新世代ハードウェアの進化論ではありましたが、ここまで露骨にアップデートを予告するのもめずらしく、製品のリリース時が完成品ではないという意識がより強まります。

 これも、ジョナサン・アイブが去ることで、工業デザインチームがソフトウェアチームへかけるプレッシャーが弱まったせいなのか、クレイグ・フェデリギがより慎重なソフトウェア開発を指示している結果なのか……。

 前述のように、カメラ機能ですでに予告されているのが「Deep Fusion」です。この機能は最大9枚までの写真を合成して、最も解像度の高い箇所を組み合わせることで、より高い品質の写真を合成する機能です。ハードウェアはそのままに、カメラアプリに新たな機能を搭載することで実現しようとしています。

 また恒例となったiFixitの分解では、双方向ワイヤレス充電機能の搭載を試みた後が見られるとされていますが、充電効率の問題から無効化された状態で眠っているようです。

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