相次ぐ不正利用被害に頭を下げた(セブン・ペイ記者会見より)筆者撮影
セブン&アイ・ホールディングスは、7月1日から開始したQRコード決済サービス「セブンペイ(7pay)」のチャージならびに新規登録を停止すると発表した。すでにチャージ済みの金額は利用可能だ。
7payに関しては、3日にSNS上で不正利用の被害を訴える声が相次いだ。サービス運営会社のセブン・ペイは同日、不正利用の発生を公表。その後も被害が相次いでいたため、4日午後にセブン・ペイが会見を開いた。
筆者も記者会見に参加したが、セブン・ペイのセキュリティに対する危機感のなさっぷりに悲しい気持ちになってしまったほどだ。「よくも、こんな認識の甘さでユーザーからお金を預かるサービスを提供できたな」と呆れるほどだった。
最たる例が、「2段階認証を導入しなかったのはなぜか」という記者からの質問だ。
●2段階認証を知らなかった可能性
ここ最近のWebサービスや、昨今のQRコード決済では、ユーザーを認証するにあたり、SMS(ショートメッセージサービス)を使ったものがトレンドになりつつある。会員登録する際に携帯電話番号を入力させ、その番号にSMSを送信。本文中にある数字を打ち込んだり、URLを踏ませて本人確認をするというものだ。
メールでも同様に認証ができるが、SMSは世界にひとつしかない携帯電話番号を使った認証と言える。2段階認証は、ネットサービスを提供する上で、もはや当たり前の機能と言っていい。
前述の「2段階認証を導入しなかったのはなぜか」という質問に対して、セブン・ペイの小林 強社長は「7payの基本設計は7iDで、セブンイレブンアプリがあって7payがある。それらが連携して登録する」というトンチンカンな返事しかできていなかった。つまり、2段階認証を知らなかった可能性が極めて高いのだ。

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