コア数&L3キャッシュ&クロック増でもTDPは105W
第3世代Ryzenで使われているZen2アーキテクチャーについては、大原氏が既にASCII.jpにて完璧な記事を書かれているので、コアな内容が好きな方はまずそちらを一読された方がよいだろう。以下の表に第3世代Ryzenを中心にしたスペックをまとめてみた。
国内販売価格は9月発売の3950Xのみ未定だが、第2世代Ryzenと同格の製品(例:2700Xと3700Xなど)を比較すると、第3世代の方がより付加価値が高いのか数千円高めの価格設定になっている。とはいえインテルの8コア16スレッドCPU「Core i9-9900K」が最安でも税込5万6000円台なので、同じ8コア16スレッドで比べるとRyzenの方が6千円~1万4000円程度安価で手に入ることになる。これらの値付けから未発売の3950Xの価格を推測すると、9万円台前半。同じ12コア24スレッドの「Core i9-9920X」が14万5000円であることを考えると、40%近く安い値段で提供される計算になる。
今回の製品に共通している仕様として、物理コア数は12および16コアモデルが開放されたが、ブースト時の最大クロックは第2世代Ryzenに対しては微増レベルにとどまっている。動作クロックだけを見るとインテルの第9世代Coreプロセッサーは最大5GHzであるため、4.6GHz動作の3900Xと比べるとややおとなしめの設定だ。
しかしながら第3世代RyzenではL3キャッシュを従来の2倍に強化、さらに分岐予測の改善等でクロックあたりの性能を大幅に改善したと主張している(前述の大原氏の記事を参照)。もちろん第3世代Ryzenは全モデルが倍率変更によるオーバークロックが可能、さらにX570やX470/B450マザーボードでは自動オーバークロック機能ともいえる「Precision Boost Overdrive(PBO)」も可能なので、自己責任でブーストクロックのさらに上をいくクロックでの運用も不可能ではない。
そして何より驚きなのは、最大物理12コア、9月には物理16コア化しているのにTDPは105Wで据え置きであることだ。そのためCPUクーラーもRyzen 7以上は「Wraith Prism with RGB」がそのままバンドルされる。コア数が増えてクロック微増すれば発熱量は上がるが、7nmプロセスへシュリンクしたことによる効果、さらにダイとヒートスプレッダの隙間は高品質のはんだで埋める(ソルダリング)等、発熱対策も周到に施している。
Windowsから見た新要素は公式オーバークロックツール「Ryzen Master」のリニューアルと、新しい電源プランの追加の2点だ。後者については従来の「Ryzen Balanced」に加え「Ryzen High Performance」「Ryzen Silenced」の3つが追加された。具体的にどのような挙動なのか、性能にどのように関係してくるかは、別の機会に紹介したい。
この連載の記事
-
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 -
第432回
自作PC
第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る -
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 - この連載の一覧へ