このページの本文へ

夢の技術! 自動運転の世界第6回

自動運転の基礎 その3

自動運転に対する日本政府の取り組みはどうなっているのか?

2019年06月04日 09時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

2020年にスタートするレベル4自動運転がありそう!?

 自動運転システムの実現は、ユーザーの利便性に留まらず、それを実現したメーカーや利用する地域の大きな経済的メリットにもなる。そのため、日本では成長戦略の重要分野として注目され、2014年ごろからさまざまな取り組みがスタートしている。

 その最たるものが、内閣府が2014年に策定した「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」だ。これは産官学の連携で進める5ヵ年計画の研究開発プログラムで、2014年~2018年に第1期が実施され、第2期(2018年~2022年)も1年前倒しでスタートしている。第2期の予算は325億円。掛け声だけではなく、実行力の伴ったプログラムである。

 第2期を迎えたSIPは、自動運転システムの技術開発だけではなく、社会に受け入れてもらうための施策や国際連携の強化などもプログラムに登場。リアルなビジネスとしての自動運転の実用化が視野に入ってきた。

 また内閣府では、これとは別に関係省庁と民間が足並みをそろえて進むべき指針として「官民ITS構想・ロードマップ」を毎年発表しており、SIPもそのロードマップに沿うように進行している。

 さらに、昨年内閣府は「自動運転に係る制度整備大綱」を発表した。これは、自動運転システムを現実に導入するにあたって必要な法制度の整備の方針で、安全基準や交通ルール、責任関係の在り方などが含まれる。安全基準には、自動運転車に必要な安全基準のガイドラインも示されており、自動運転システム開発のための公道実験はより容易になった。交通ルールは、ジュネーブ条約に係る国際議論を反映するものとなるという。

 責任関係では、万一の事故のとき、自賠法的には従来通り車両のオーナーなど運行供用者が責任を取るという方針だ。ただし、刑事責任は検討継続だという。こうした方針が発表されているように、自動運転システムの実用化に向けて法制度の準備も着々と進んでいる。

オーナーカー、移動サービス、物流サービスという3つの目標

 では具体的に、何年になれば、何ができているのか? そうした政府による自動運転システムに関する目標としては、「オーナーカー」と「移動サービス」「物流サービス」の3つが掲げられている。「オーナーカー」というのはいわゆる普通乗用車で、「移動サービス」はバス、「物流サービス」はトラックと考えればいいだろう。

 まず、「オーナーカー」の目標は2025年を目途に、高速道路での完全自動運転(レベル4)であり、一般道でのレベル2以上の運転支援だ。高速道路のレベル2と3の走行は、2020年が目途だという。ドライバーが運転を監視するレベル2は、すでに実用化されており、運転手がよそ見をしてよいレベル3の実用化は法制度が整った後になるはずだ。

 続いて、「移動サービス」は2020年までに限定地域でレベル4の無人自動運転の実現が目標。また、2022年以降に高速道路での、レベル2以上の自動運転システムによるバスの実用化も目標とされている。つまり、まったく新しい形態の移動サービスとしての無人自動車が2020年に登場し、従来からあるバスも2022年以降には、自動運転システムを導入するという目標だ。

 そして「物流サービス」は、2025年以降に高速道路でトラックのレベル4完全自動運転だ。その前にレベル2以上のトラックの隊列走行も目標になっている。トラックの隊列走行は2段階の目標があり、最初が2021年までに後続車にもドライバーが乗車して走行するというもの。2段階目は、2022年以降に無人の後続車で隊列走行を目指すという。

 こうした国の掲げた目標を見てみれば、当初謳われていた「東京五輪(2020年)での自動運転」は、どうやら「移動サービス」で実現しそうだ。確かに現状の技術水準でも、限定した専用コースを低速で運行すれば、バス型車両のドライバーレスでのレベル4自動運転も可能だろう。そして、一般の乗用車が一時的ではあるが、運転から解放されるレベル3は、来年2020年からというのは、意外と近い。最初に実用化するのは、どのメーカーのクルマになるのか、非常に興味深いところだ。

筆者紹介:鈴木ケンイチ


 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。



カテゴリートップへ

この特集の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

ASCII.jpメール アキバマガジン

ピックアップ