マイクラで急拡大!世界が注目する子どもSNS・Creatubbles
教育関係者が熱視線 子どものクリエイティブを育てるのに大切なことは何か
子どものクリエイティブに関する親にとっての悩み
Creatubbles創業メンバーはいずれも、親の目線を持つ3人の父親だ。代表であるグリーンバーグ氏はカナダのトロント出身。日本に来たきっかけは、在籍していたニューヨークの戦略コンサル企業ミッチェル・マディソン・グループの東京オフィス開設にあたってだ。その後、複数企業での重要ポストを歴任。現在は日本人の妻と2人の娘がいて、Creatubblesを始めるきっかけになったのも記事冒頭の娘からの発言だった。
「最初に作ったのは本当に娘のためで、子どもたちがシェアできるクリエイティブプラットフォームが念頭にあった。それが世界に広がる中で各国の先生方から使いたいという声をもらい、学校に導入できるまでになり、さらには世界中の企業と関係ができつつある」とグリーンバーグ氏。解決したかったのは、子どもが発揮する創造性(クリエイティブ)に関する親にとっての重要な問題だった。
「子どもたちの可能性は無制限。いろいろ新しい物を作ったり、そこら辺にある大人からは価値がないものをおもちゃにして遊ぶ。子どもたちがそういうものを作って遊ぶのは親としてもちろんうれしいが、家のスペースは有限なため、いつかは悲しい気持ちで捨てなければいけない。また、離れて住む家族にリアルタイムで娘たちが作っているものを共有できるかという問題もある。共有だけだったらDropbox、FacebookやTwitterなどいろいろある。ただ、どうやって意味ある形でフィードバックを直接もらえるかという部分が重要だった。そして最後に、いつも娘からは言われるのが『なぜパパみたいなTwitterやFacebookのアカウントがわたしにはないの?』ということ。ご存じのとおり、現在のSNSはすべて法律的には13歳以下は参加できない。オンラインで世界中の人に会って新しい物を見つけて、新しい発見をすることは子どもにはできない。また正直なところで、娘たちを見ていると13歳になったら本当にTwitterやFacebookを使ってほしいのかという疑問もあった」
Creatubblesはこのような問題をすべて解消するためにできた。運営のためにはいくつかの重要な点が設けられているという。「1つはどの年代の子どもでもアカウントを持って管理できること。もう1つはコンテンツの制限で、普通のソーシャルメディアと違って、『なんでも発信していい』ではなくて『オリジナルかつ自分で作った作品』しか配信できない。こうすることで子どもたちが、全世界に直接自らのクリエイティビティを発揮できる。そこからコミュニケーションが取れて、さらに新しいものを見てインスピレーションが得られる」
そのためCreatubblesで特に重視されているのは、セキュリティとコンテンツ管理の部分の設計だ。すべての画像や動画などのコンテンツは公開される前に、不適切な言葉がないか自動でブロックする仕組みがある。また子どもがアカウントを持つ場合、少なくとも1名の監督者である大人のアカウントへの紐づけが必要になり、公開においても承認を受けなければならない。さらにアップロードされた全画像は、公に可視化される前にCreatubblesチームによって慎重なチェックを受ける。
またオリジナルの作品であることについても、重きが置かれている。特定IPのキャラクター画像が表示されないようにしたり、それらを完全に削除する権利がプラットホーム側にある。場合によっては塗り絵についても承認しないことがあるという。
グローバルなクリエイティブ交流が可能
ユーザー間の交流では、フェイスブックの「いいね!ボタン」のようなバブルボタンが特徴的だ。カラフルなバブルを押すと音が出て、プロフィールからどこの国の子どもかわかる。作品への反応を通した、国や地域をまたいだ子ども同士でのコミュニケーション連携が狙いだ。
「体験授業をするなかで、どの国の先生も同じことを言う。『先生、ペルーや南アフリカからバブルもらったよ』と子どもたちが見つけると、その後必ず『ペルーってどこ? 南アフリカってどういう所?』という反応がくる。黒板や地図で、南アフリカはここ、ペルーはここです、と発展できる。自分が作った作品に世界の誰かが『いいね』というリアクションをあげて、その先にある世界へのイメージが始まり、そして広がっていく。私が子どものときにこれはありえなかった」
このようなグローバルなコミュニティ内での交流を促進させるため、言語は重要なカギだ。Creatubblesでも数多くの工夫があり、代表的な部分でバリアフリーな検索機能がある。
たとえば「虹」と日本語で検索すると、世界各国の言語での虹の検索結果が出てくるようになっている。自らの設定でない言葉には翻訳ボタンがついており、押すことでその意味がわかる。「たとえばこれはオランダ語でこちらはトルコ語。バックエンドで全部つながっているため、どの言語でもアップロードでき、検索ができる。こうすることで、自分の言語から全世界の子どもたちがどういう風に同じテーマについて考えているかがすぐにわかる」とグリーンバーグ氏。
心がけているのは、グローバルスタンダードではなく”グローバルネイティブ”というCreatubblesならではの考え方だ。「ユーザーはプラットホームに合わせるのではなく、自分が持っている”宝”に自信を持って参加する。たとえば英語を知り勉強することはためになるが、一方で世界が同じように均質化してしまったら本当に良くない。英語はかなり便利だが弱点も多く、その持っていないところは、日本語やイタリア語、中国語、ギリシャ語など各国の言語に入っている。言語を調節しないことでいろいろな可能性に開けていたいし、もちろんそれは言語以外にもあてはまる」
今後、どういう形でCreatubblesの世界を広げようとしているのか。「グローバルネイティブと説明したが、まず日本、次にアメリカ……というものではなく、同時にいろんな国で動いている。考え方としては”誰でも、どこでも、どの状況でも”参加できる仕組みを作ること」だとグリーンバーグ氏は語る。
口コミからの広がりでは、アメリカ・カナダ・ヨーロッパでの利用が強いという。日本と異なるのは、教師が自らソーシャルメディアを積極的に使っており、ブログ執筆やユーチューブ投稿を行っている。その中でCreatubblesが話題になっているのだという。