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共感度MAX!JAWS DAYS 2017レポート 第3回

CoderDojo長岡京の永田氏、JAWS DAYS 2017で語る

コミュニティ運営経験ゼロからプログラミング教室を立ち上げてみた話

2017年03月24日 07時00分更新

文● 重森大 写真●JAWS-UG写真班(中井勘介、金春利幸、加我 貴志、平野文雄)

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子供向けのプログラミング教室であるCoderDojo。そのひとつを運営する永田 明さんは、CoderDojo長岡京の運営を始めるまで、コミュニティ運営の経験はまったくなかったという。そんな永田さんがどうしてCoderDojoを始めたのか、運営を続ける上でどんな苦労があり、どんないいことがあったのか。JAWS DAYS内の短時間のセッションではあったが、ポイントを押さえて語ってくれた。コミュニティ運営経験ゼロからでも、やる気があればできるという勇気を与えてくれるお話。

子供にプログラミングを教えたい、でもどうやって?

 お昼のお弁当でお腹が膨れた参加者たちが、眠気に誘われる午後3時。中だるみの雰囲気もJAWS DAYS 2017の会場には流れていた。4時間寝坊して13時に会場に駆けつけた筆者は、そんな気だるさとは無縁のやる気満々。午前中のことは忘れて、気になるセッション会場へと足を運んだ。サーバーワークスの永田さんの「子供向けプログラミング道場を運営してみたお話し~CoderDojo長岡京と、時々、EC2~」だ。

CoderDojo長岡京 永田 明さん

 筆者には、中学生の子供がふたりいる。どちらも男の子で、長男は厨二まっしぐら、次男はソードアート・オンラインとアクセルワールドを全巻買い揃え、劇場版ソードアート・オンラインは通常盤と4DXと2回観に行くくらいのアニオタに立派に育ってくれた。ちなみにソードアート・オンラインで一番好きなキャラクターは、キリトだそうだ。これだけソードアート・オンラインと書いておけば、KADOKAWAさんが何かくれるに違いないと、そんな淡い期待で原稿を散らかすくらい子供を愛する私が、子供のIT教育に強い興味を抱くのは職業的にも必然の流れ。小学校低学年からスマートフォンを持たせ、高学年になる頃には自分専用のPCも持たせている。私のおさがりなんてものではなく、ふたりの愛機は新品購入したCore i7搭載のゲーミングノートPCだ。しかし……読者の多くが想像する通り、高価なゲーム機として日々活躍しているのが現状だ。プログラミングくらい教えたいと思うかものの、C言語しかできない私にそんな技量もなく。どこかのプログラミング教室に連れて行ってみたいと思いつつ、時間を取れずにいる。

 永田さんがCoderDojoに興味を持ったのも、自身のお子さんにプログラミングを教えたいと思ったことがきっかけだったそうだ。しかし、自分が学ぶのと人に教えるのとでは大違い。教え方がわからなかったという。

「同じように、子供へのプログラミング教育で困っている人がいるのではないかと考えました。また、自分もいい年齢になってきたので、教わるばかりではなく与える側にまわりたいという気持ちもありました」(永田さん)

自分と同じようにプログラミングの教え方で困っている人がいるのでは……

 具体的な方法はわからなかったものの、プログラミング体験のきっかけを与えるくらいできるのではないかとぼんやり考えていた頃、ある出会いが永田さんを動かすことになった。

CoderDojo長岡京を開くきっかけはJAWS-UGだった

 2014年、サーバーワークスの社員旅行で仙台市を訪れた永田さん。ちょうどその日に仙台で開催されていたJAWS Festaへ立ち寄った。そこで開催されていたのが、CoderDojo出張編だった。子供へのプログラミング教育に興味を抱いていたタイミングだったこともあり、永田さんも教える側のサポートとして参加してみたそうだ。

「サポートしているうちに、自分でもできそうだなって思ってしまったんです。浅はかでしたね。その場で仙台代表の方にお願いして、関西で活動している人に連絡を取ってもらいました」(永田さん)

 浅はかだったと振り返ってはいるものの、こういった行動力と熱意こそコミュニティの原点なのだろうなと思う。永田さんはそれから3ヶ月後には、第1回目のCoderDojo長岡京を開催してしまった。

「できそう」と思ってしまって、3ヵ月後には第1回CoderDojo長岡京を開催

 ところで永田さんによれば、CoderDojoは厳密にいえば、プログラミング教室ではないそうだ。お仕着せのチュートリアルでプログラミングを体験するのではなく、子供達が作りたいものを作るのだそうだ。世界中に広がっており、「CoderDojo長岡京」のように地名をつけた道場名で呼ばれる。日本国内でも70道場以上が活動しているとのことで、使用言語は対象年齢の広いScratch。Dojoに来る子供たちはNinja、運営者はChampionと呼ばれる。欧米から見た日本の道場のイメージなのだろうか。

「実際にやってみたら、すごく面倒くさいんですよこれ。幸か不幸か、毎回満員御礼でキャンセル待ちが出るくらい人気があって、プログラミング教育に関心を持つ親御さんが多いことがわかりました」(永田さん)

 もちろん面倒くさいだけではなく、やってみてよいかったことも多い。子供のプログラミングをサポートするメンターに挑戦してくれる親御さんが現れたり、色々な職種の人がボランティアとしてサポートしてくれるという。子供がCoderDojoを離れるタイミングで離れていく人もいるが、次々に新しい出会いがある。

CoderDojo長岡京が、新しい道場を開くきっかけを生んだ!

 CoderDojo長岡京を運営してきた経験の中で、とりわけうれしかった出来事が2つあると永田さんは語った。ひとつは、常連メンターとしてサポートしてくれていた人が、自分の地元で新たなCoderDojoを立ち上げてくれたこと。

「場所が近いのでCoderDojo長岡京の人は減っちゃうけど、スケールアウトしたことで裾野は広がります。なにより、自分がきっかけをもらってCoderDojo長岡京を立ち上げたように、きっかけを与える側になれたことがすごく嬉しかった」(永田さん)

 もう1つうれしかったことは、CoderDojo Japan公式ブック「Scratchでつくる!たのしむ!プログラミング道場」にCoderDojo長岡京が取り上げられたこと。全国各地の道場で新しいことを学びながら旅をするという作りの子供向け書籍で、漫画キャラクターとして永田さんが登場している。「自分で書いたAWSの書籍でよりうれしかった」と、喜びを語っていた。

CoderDojo Japan公式ブック「Scratchでつくる!たのしむ!プログラミング道場」

 今は、岐阜で新しくCoderDojoを立ち上げたいという相談を受け、実現に向けて検討と協力をしているところだそうだ。こんな風に行動する父親の姿を見せていれば、永田さんのお子さんはプログラミングよりももっと大切なことを学べるに違いない。てことはうちの子が厨二でアニオタなのは……誰のせいだ?

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