急変貌する“巨人”―「IBM InterConnect 2016」レポート 第5回
モバイル開発者やスタートアップとの関係構築、「InterConnect 2016」で担当幹部に聞く
「Java開発者もSwiftやブロックチェーンを学んで」IBM幹部
2016年03月08日 07時00分更新
「今年の『InterConnect 2016』で感じる昨年との違いは2つ。デベロッパー(開発者)へのフォーカスを強めたこと、そしてスタートアップコミュニティの勢いを感じること」と語るのはサンディ・カーター氏。IBMで開発者コミュニティやスタートアップ企業の支援施策を担当するジェネラルマネージャーだ。
IBMのみならず、クラウドプラットフォームを提供するIT企業の大半は、開発者からの支持を集めるための施策に注力している。今回のInterConnectで発表された新サービスがそれにどう影響するか、IBM流の取り組みとはどんなものかをカーター氏に聞いた。
「Java開発者にも、Swiftやブロックチェーン技術を学んでほしい」
今回のInterConnectでは数多くの新サービスや新機能が発表されたが、カーター氏の個人的見解では「開発者視点で選ぶならば『Swift、OpenWhisk、GitHub』がトップ3」だと語る。
イベント駆動型のマイクロサービスプラットフォームである「Bluemix OpenWhisk」は、イベントに応じてアップロードしたコードをサーバーレスで実行する仕組みであり、つまり「AWS Lambda」と真正面から競合するサービスだ。現在はまだExperimental(検証利用向け)段階だが、SwiftやNode.js、さらにDockerコンテナ化したカスタムコードが実行できる点、複数の処理間(入出力)をUNIXのパイプで簡単につなぐことのできるチェイニングを実装している点などを特徴としている。
GitHubとの戦略提携による「GitHub Enterprise on IBM Cloud」も発表された。具体的には、企業が専有型のGitHubリポジトリを持つことができるソフトウェア、GitHub Enterpriseを、IBMのBluemix Dedicated(専有型クラウド)やBluemix Local(オンプレミスクラウド)上で提供していく。
とはいえ、今回の発表で最もインパクトが大きかったのは、やはり“Swift on Bluemix”だろう。
これは、iOS向けプログラミング言語としてスタートしたSwiftを、サーバーサイドアプリケーションのオープンな開発言語としても利用可能にする取り組みだ。そのために、IBMではSwiftコミュニティに参加してコードを提供(コントリビューション)しているほか、Swiftコードをテスト実行できる「Swift Sandbox」やSwift向けパッケージカタログなどの提供を始めている。さらには、すでに提供されているx86 Linux版Swiftだけでなく、今年の中頃にはメインフレームLinuxでも使えるようにする計画だという。
IBMはなぜSwiftに注力するのか、という質問に対し、カーター氏は「Swiftを通じて世界中のモバイル開発者にリーチできる」からだと答えた。
Swiftコミュニティは過去12カ月間で急成長しており、GitHub.comで「最大の言語」になるほど開発者からは人気が高い。その一方で、エンタープライズの世界では新たなサーバーサイド開発者を必要としている。そこで、サーバーサイドもSwiftで開発できるようにして、モバイルの世界にいる開発者をより多くサーバーサイドに(そしてBluemixに)呼び込もうというもくろみだ。
カーター氏は、IBMとして「Swiftの開発者コミュニティを各国で作っていきたい」と語った。現在、世界には138のBluemixユーザーグループがあり、これとうまく協調してやっていけたらよいのでは、と考えているという。
また裏を返せばSwiftは、エンタープライズ開発者が活躍する世界を広げる武器にもなる。カーター氏は、現在サーバーサイド開発の主力であるJava開発者にも、「適切な場面でSwiftも使えるように」Swiftの学習を推奨していきたいと述べた。そのための学習プログラムなども用意する方針だという。
「開発者たちに聞くと、Swiftは簡単で使いやすく、効率よくアプリケーションを開発できる言語だと評価している。コーディングの楽しさ、クールさ、開発者で良かったという喜びを思い起こさせるのがSwiftだ」
なおIBMでは2月、オープンソースのブロックチェーン実装である「Hyperledger」プロジェクトへの参加と、Bluemix上での企業向けブロックチェーンサービスの提供開始も発表している。カーター氏は、Java開発者にはSwiftだけでなくブロックチェーン技術も学んでほしいと付け加え、金融/フィンテック業界だけでなく幅広い業界の開発者に対し、ブロックチェーン関連技術の提供やサポートを進めていく方針だと説明した。
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