秋のデジカメ特集2回目は、35mm判フルサイズ素子を採用するレンズ交換式デジカメを紹介する。高画質な静止画を記録するための手段として撮像素子に35mm版フルサイズを使用し、既存の銀塩フィルム時代のカメラのシステムや使い勝手そのままに、デジカメでの最高画質を求めるモデルが今回紹介するデジカメ達だ。
今やスマホやコンデジで1000万画素を余裕で超える解像度を持ってはいるが、大きさや携帯性、コストのため、画質面での精彩さや鮮明さ、階調、解像力といった部分に若干の難点がある。
もちろん、写真の良し悪しは画素数や画質では決まらないし、何が写っているかが重要で、階調の豊かさや、きれいさ、高精細さなどはいくつもある要素の一つに過ぎず、それらがなくてもいい写真はいくらでもある。
しかし、どうせ撮るならきれいに残したいというのもありじゃないだろうか? 今回はボディーだけで30~40万円以上というハイエンドユーザー向けの高級機となるが、その撮影画質は最高クラスと言っても過言ではないだろう。
あえて画素数を減らしてISO 409600まで設定可能
ソニーのフルサイズミラーレス「α7S II」
35mm版フルサイズ素子を採用しつつも、あえて画素数を増やさず、実用性十分な画素数で画質にしぼったのが「α7S II」(ILCE-7SM2、ボディーのみの実売価格は42万円前後)だ。
有効約1220万画素の「Exmor CMOSイメージセンサー」は、画素数だけで見ればスマホに搭載されているカメラと変わらないか、少ないくらいである。しかし、α7S IIの最大記録画素数は4240×2832であり、商業印刷で一般的な350dpiでなら約30×20cmで出力できる。
インクジェットプリンターでは大体240dpiで十分と言われているが、その場合でもA3サイズをカバーできるので、よほど大きく印刷するのでなければ十分な画素数といえる。
むしろ、画素数を少なくして画素一つあたりを大きくしたことで幅広い階調を表現できるようになり、高感度での撮影に強くなっているのが最大の特徴。感度設定は、標準でISO 100~102400、拡張ではISO 50~409600までの撮影が可能だ。
画像処理エンジンには最新の「BIONZ X」を採用。基本スペックは従来機の「α7S」に準じるが、「II」では5軸式の手ブレ補正機能を内蔵し、4K動画の本体記録が可能になっているのが大きな進化だ。
5軸式の手ブレ補正機能は同社の「α7II」「α7RII」に引き続き採用。補正効果は約4.5段分とかなり使い勝手のいい機能だ。手ブレ補正機能を内蔵しているレンズを装着した場合には、レンズ側で角度ブレ補正を行ない、ボディー側では3軸の補正を行なうようになっている。
35mm判フルサイズ素子採用のデジカメの中では軽いほうだが、それでも確実に安定してホールディングしなければ簡単に手ブレを起こしてしまう。特にファインダーでなく、コンデジのように背面モニターを見ながら撮ろうものなら、いとも簡単に手ブレしてしまうので、今回の5軸手ブレ補正は本当に心強い。
4K動画の撮影機能はα7Sでも搭載されていたが、本体内の記録メディアには保存が行なえず、別途外付けの業務用レコーダーが必要だった。しかし、新機種は本体での記録が可能になっているほか、S-Log2やS-Log3といった業務向けのピクチャープロファイルが利用可能になっている。
このほか、新たに静止画の記録フォーマットに14bit非圧縮RAWフォーマットが加わり、より高画質での記録が可能。ほかにもAF精度が向上しているなど、使い勝手の面で大幅に進化している。
(次ページに続く、「ISO 51200まで実用レベル! α7S IIの画質をチェック!!」
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