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マイクロソフト・トゥディ 第165回

“負け組”マイクロソフトは、何をしでかすかわからないチャレンジャーになった

2015年10月09日 11時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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「コンサンプション」(消費)と「ユーセージ」(利用)

 そのマイクロソフトが、ここにきて頻繁に使い始めた言葉が、「コンサンプション(消費)」と、「ユーセージ(利用)」である。

 そして、これらがマイクロソフト社内の重要な指標になっている。

 一例をあげれば、7月29日から提供を開始したWindows 10では、これまでのような販売指標はない。もちろん、無償で提供しているのだから当然といえば当然だ。

 日本マイクロソフトの平野社長も、「Windows 10では、初日に何本売れたとか、何人が並んだというような評価指標はない。その点も、これまでのWindowsとは大きく異なる点だ」と語る一方、「重視されるのは、いかに使ってもらうかという点。マーケティングの手法も、いかに買ってもらうかではなく、いかに触ってもらうか、使ってもらうかという点になる」とする。

 そして、平野社長は、「Windows 10は、2カ月間を経過して、ダウンロード数、アクティベーション数でも、社内の指標を超えている。法人ユーザーにおける検証も増えている。さらに、お客様との直接の会話の中では、Windows 10は斬新である、あるいは使いやすい、しっくりくる、といった言葉ももらっている。こうしたところで、Windows 10の手応えがある」とする。また「Office 2016においても、Office 365にアクティベートされているか、あるいは機能を使ってもらっているか、といった指標が重視されることになる」と語る。

 マイクロソフトにとって、今年の2大製品といえるWindows 10、Office 2016においても、コンサンプション、ユーセージが重要な指標なっているのだ。

モバイル時代・クラウド時代の新たなビジネスモデル

 では、なぜ、コンサンプションとユーセージを重視するのか。

 これは言い換えれば、モバイル時代・クラウド時代の新たなビジネスモデルといえるものだからだ。

 モバイルで先行するアップルのiOS、GoogleのAndroidは、無償で新たなOSへとアップグレードできるのが当然の仕組みとなっている。そして、より多くの人にプラットフォームを使ってもらい、その上でアプリやサービスを提供することで収益を得るというビジネスモデルだ。

 マイクロソフトも、すべてを有償で提供するPC時代のビジネスモデルから、コンサンプションとユーセージを重視するモバイルデバイス時代のビジネスモデルへと転換を図ったというわけだ。

 本来ならば、こうしたビジネスモデルの大転換には大きな痛みが伴うものだが、マイクロソフトには幸いにも潤沢な資金があった。ダイナミックに、コンサンプションとユーセージを重視したビジネスモデルに転換し始めているのはそのためだ。

 むしろ、Windows 10やOffice 2016という大型製品の投入をアクセルに、コンサンプションとユーセージ重視の体質転換を加速しているともいえるだろう。

 チャレンジャーのマイクロソフトは、何をしでかすかわからない。

チャレンジャーのマイクロソフトは、何をしでかすかわからない


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