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マイクロソフト・トゥディ第186回

アドビ デザイン部門トップから移籍 -マイクロソフト 「Inclusive Design」に取り組むMichael Gough氏

2016年03月24日 10時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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 米マイクロソフトでは、「Inclusive Design」(包括的デザイン)と呼ぶ取り組みを開始している。その中心的役割を担っているのが、米マイクロソフト アプリケーションズ&サービスグループ デザイン担当コーポレートバイスプレジデントのMichael Gough(マイケル・ガフ)氏だ。

マイクロソフトでは、デザイナーも一丸となって技術革新に取り組む

 約1年前までアドビシステムズに在籍し、デザイン部門トップに就いていたGoughコーポレートバイスプレジデントは、「コンピューター用語は、1年ごとに変化しているように、技術革新が速い。だが振り返ってみれば、その中でアドビは遅れを取っていた。例えば、タッチという新たな技術をユーザーインターフェース(UI)として採用するまでに3年という歳月が必要だった。そして、UIは“川下”工程と位置づけられていた」と明かす。

 「マイクロソフトに入って感じたのは、技術革新に向けて全員が一緒になって取り組んでおり、デザイナーもその一翼を担っているという点。一時はデザイナー同士を競わせようとする風土もあったようだが、今では、顧客はどう感じるのかといった視点を中心にしたデザインを最も重視しており、人間とコンピューターの関係をより良いものにするために努力を惜しまない環境がある」とする。

 そして、「デザイナーにとってのマイクロソフトの魅力は、より多くの人を対象にしたデザインに挑戦する場が用意されていることである。それができる数少ない企業のひとつだ」とする。

「Inclusive Design」の基本的な考え方

 実は、多くの人を対象にしたデザインを実現するという点に、マイクロソフトが目指している「Inclusive Design」の基本的な考え方がある。

 「一般的なデザインは、誰かひとりのためにデザインされたものであり、そのデザインに多くの人が憧れて引き寄せられるケースが多い。例えば、ポルシェのデザインがそれだ。また、理想化された顧客の姿としてペルソナを描き、それに向けたデザインを行なうことも多い。しかし、理想化されたペルソナでは、やはり対象となる利用者は狭いものになる傾向が強い。

 マイクロソフトが目指しているデザインは、一部の人が利用するものではなく、最初からあらゆる人が利用しやすいデザインだ。それは、デザイナーにとって新たなデザインの考え方を求めるものでもある」と語る。

 そして、「ほとんどのUIは、若い人たちや技術に精通した人たちによってデザインされているため、その結果としてある限定した顧客層に向けた使いやすさに留まっている。ひとりのために設計したデザインに比べて、地球上の何十億人というあらゆる人のために設計したデザインを生み出すことは、はるかに困難である。マイクロソフトで働く上で最も興味深いのは、この困難に挑戦する必要があるという点だ。その意味では、マイクロソフトの優秀な才能を持つデザイナーが、その才能を発揮する余地がこれまでは限られていたともいえる」とも指摘した。

 マイクロソフトが目指すInclusive Designでは、文化や言語、地理といった観点で異なる多様性を持った人たちのすべてが、安心して効率的に使える環境を目指すものとなっている。ペンやタッチ、ジェスチャーといった入力方式や、HoloLensのような新たなデバイスによる体験、Bingトランスレーターに代表される言語翻訳技術も、Inclusive Designを実現する道程において、重要なものになるだろう。

障碍者も不自由することなく利用できること

 そして、その多様性の対象のひとつとして、障碍者も不自由することなく利用できることを視野に入れている点も見逃せない。手や指が不自由である場合、あるいは視覚に障碍がある利用者にとっても、いかに使やすいUIを実現するかといった点に取り組むことになるという。

 「障碍者にとって有効なものは、健常者にとっても有効なものが多い。例えば、車椅子のためのスロープは、ベビーカーを押している人にとっても、大きな荷物を持っている人にとっても便利なものである。そして、スケードボードをやろうとしている子供たちにとっても便利だ」とジョークを交えながら、比喩してみせる。

 そして、グラフィックデザイナーやプロダクトデザイナー、サウンドデザイナーなどのデザイナーが一緒になって、幅広い観点から、Inclusive Designの実現を目指すことにも取り組むという。

 「ハイテク分野のデザインは、グラフィックデザイナーによって支配されることが多いが、デザイナー同士が対話する環境を持つことで、それぞれの思考が広がり、優れたデザインにつなげるヒントを得ることができる。Inclusive Designの基本は、まずは必要性からスタートするデザインとなるが、それを追求することで、ユニークさと美しさを両立できるものになると考えている」と語る。

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