漫画家の敵はウイルスではなく、ウイルスチェックだ!?

2012年06月13日 11時00分更新

文● まかふぃーぶ　漫画●木野陽

まずは作業環境のチェックから

　そんなわけで、漫画家／イラストレーター・木野陽さんの作業用PCにおけるセキュリティを強化しつつ、クリエイティブワークならではの苦労話なんぞも聞きながら優雅な記事にしようねと言う編集について行って、到着したのはつくばだった。

　すっごい個人的なことをいうと、科学方面の取材以外でつくばは初めてだ。出迎えてくれたのは、ミハラさん。木野陽さんのマネージャーで理系スメルをほどよく醸し出すセクシーガイだった。まずは作業場まで案内してもらう。

木野陽さんの作業場は科学の都・つくばにある

「つくば駅っぽい写真を」と言われたが、どうもダメだったらしい写真も掲載しておこう。ホームの先端から見える収束点を邪魔する柱がかっこいい（編註：駅はともかく、つくば要素ゼロである）

　さっそく作業場にお邪魔してお話を伺ったわけだが、木野陽さんについてカンタンに紹介しておこう。創作漫画やイラストを手がけており、なんと今春まで大学院生だった（専攻は建築！）。眼鏡の似合うキュートレディであり、同人・商業の両面で活躍している。

現在、ベネッセコーポレーションの進研ゼミ「中学講座」情報誌『My Style』の表紙を担当中。今回は最新刊の制作直後にお邪魔した。貴重なオフに大仏顔が乱入してくるとか不憫過ぎる……

木野　「ここはですね、3DKでバス停からも近いんですけど、家賃が6万8000円という安さでして、このあたりのこのサイズの物件では最安クラスだと思います。作業場には持って来いだなあという感じです」

ホカムラ部長　「広いですねぇ」

木野　「コンピューターの周りは、本棚に天井まで突っ張る棒を設置して、その上にPogoplugなどHDDを並べていたら、東日本大震災でほぼ全部落っこっちゃいました」

むらっち　「こわっ！」

木野　「地震の後に大幅な模様替えをしまして――大穴が空いたままの壁を本棚で隠したりとか――上から物が降ってくる環境はだいぶなくしたんですね。本やDVDは落ちてきてもそれほど危なくはないので。今はもう絶対に落ちない床にHDDを並べています」

林　「テレビが自分の作業スペースを向いていなければ、吹っ飛んでこないので安心です。意外と飛びますし、薄型テレビ」

ミハラ　「あとは押し入れですね。ここ一応、同人誌の在庫入れに使っているのですが、床が落ちまして。本当はフローリング床と同じ高さだったんですけど、本の重さでビキッと。ところが部屋の惨状に気をとられていたので、判明したのは震災数ヵ月後でした（笑）」

本棚の上から床に移されたPogoplugを中心としたバックアップ環境。熱だまりになっているのがネックとのこと

意外とケーブルスプラッシュはキレイなものだった

押し入れの床が抜けている在庫入れ。昨年の大震災から数ヵ月後に気がついたという

　さて、気になる作業PCは、CPUにCore i7 X980、メモリー12GB、GPUにRadeon5850、OSはWindows 7 Professional。Windowsエクスペリエンスは7.5のハイスペック機だ。メインモニターはWACOM cintiq 21UX。色確認用のサブモニターはFlexScan S2411Wという構成。

　入力補助にはロジクール G13 Advanced Gameboardを使用している。PCゲームではお馴染みの入力デバイスだが、漫画家やイラストレーターの導入も多い一品だ。基本的にはPhotoshopやPainterなどのショートカットをセットしておく利用方法が主。

　後述するが、ちょっとメモリーが足りないとのこと。イラストが1ファイルあたり1.2GB前後で1ファイル開くだけでもメモリーを一気に占有してしまう。

むらっち　「すみません、ディスプレーの右端に貼られているのは何ですか？」

木野　「これは金閣寺のお札でして、鹿苑寺金閣に家族で行ったときに購入……というか拝観料を払えばくれるはずなんですけど。地震のときにこのディスプレーのパネルが割れまして。バッツリ落ちてしまったんです。

　で、修理出して戻ってきた際に、『もう落ちないで！』という思いから、このお札を――“ご守護”“家内安全”と書いてあるので、ああよし、御利益ありそうってことで――ずっと貼っています。その後は落ちていません（笑）」