「諸君。我がクラスタの使命は、女子高生の実態を知ることである」
薄暗くますます手狭になった部屋で、円卓を囲む男の一人が重々しく宣言した。
「はっ」
「…………」
「あらまぁ、楽しそうねえ」
「そうだったの!? 僕、ぜんぜん聞いてなかったんだけど」
クラスタのリーダー・イチトの言葉に、同じ円卓につく他の四人もそれぞれ頷く。
登場人物紹介
イチト
謎の組織「HENTAIクラスタ」のリーダー。そのほか一切の素性は不明だが、組織名から類推できる系のあれな人。ある意味、俺たちの味方。そして受け。
蓮(レン)
ショタ。以上。
ジルベール
金髪フランス人。「あ、竹宮先生の……」とか言ってはいけない。
如月
無口な二枚目。一見常識人っぽいが、常識人はいい歳して眼帯はしないので、静かに厨二病をこじらせているのだろう。
マリア
本部から派遣されてきたニューフェイス。登場人物紹介コーナーで使えるマトモな顔を発注しなかった担当編集のミスを一身に背負わされている。
「そうだったのだ。秘密のヴェールに包まれた女子高生の真実を知るためにはセキュリティの突破が必須なのだ。そのために我らは日夜ハッキングの技術を磨いているのである」
「ずいぶんと限定的な技術の利用法だよね……」
「ともかく諸君、そのために何か良い考えはないか? 採用された者には私から何かちょっといいものを進呈しよう」
「リーダー。私にひとつ案があります」
手を挙げたのは、フランス人金髪イケメンのジルベールだった。
「よし、発言を許す。どMのジルベールよ」
「そうだったの!?」
「台詞でキャラ属性を説明しちゃうのはスマートじゃないと思うわぁ」
唐突に設定が開陳されたジルベールは、あらかじめ用意しておいたらしいスライドをモニターに表示して説明し始めた。
「現在、女子高生の秘密がもっとも詰め込まれているのは携帯、そしてSNSに投稿されたデータです」
「うむ」
「ですが非合法な手段でデータを抜くと後々面倒なことになります。昨今は個人情報の漏洩にたいへん厳しいですので。──裏を返せば、非合法でさえなければいいのです」
ジルベールの解説にイチトや他のメンバーたちは顔を見合わせた。そんなことができるなら願ったり叶ったりである。
「ど、どうやるのだ、そのためには……」
「このようなアプリを作成し、ターゲットの周辺にばらまくのです。具体的には……」
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