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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第2回

3D非対応でも画質の実力はトップクラス

「KURO」より深い!? パナ「VIERA V2」の黒表現

2010年04月21日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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広色域再現に対応していることが「フル・ブラックパネル」の強み

 TH-P42V2のフル・ブラックパネルとG2シリーズの「ブラックパネル」の大きな違いは、「ハリウッドカラーリマスター」の有無。これは、BDソフトなどの映像の色再現をより豊かにする技術で、元々の映画フィルムの持つ自然な色を再現するもの。ハリウッドカラーリマスターの搭載に合わせ、パネルの色再現範囲もデジタルシネマの広い色域をカバーするものとなっており、鮮やかな原色や中間色の豊かな再現が可能だ。

「ハリウッドカラーリマスター」の説明図

「ハリウッドカラーリマスター」はデジタルシネマ並の広色域を実現している

 地デジ放送などの一般的なソースでも「デジタルカラーリマスター」をオンにすることで、広色域表示が行なえる。ソースによっては、原色が派手になりすぎることもあるが、赤や緑といった原色の鮮やかさがより強まる。

「プロ写真」モード。「オート」を選ぶと写真表示時に自動的に適用される

「プロ写真」モード。「オート」を選ぶと写真表示時に自動的に適用される

 この広色域再現を生かすため、デジカメなどの静止画の表示時では「プロ写真」というモードが選べる。これも最近のデジカメに多い、広い色域で撮影されたデータをより忠実に再現できるもの。

黄色い花を撮影した画像を「プロ写真:オン」(左)と「プロ写真:オフ」(右)で比較。黄色の再現の違いが顕著で、より深みのある黄色の再現になっている

次に赤い花の画像でも比較。花びらの赤や葉の緑は大きな変化はない。「プロ写真:オン」(左)では、影の部分の黒に沈みがちな赤色がわずかに鮮やかになり、より鮮明な印象になる

 静止画データを表示して確認してみると、「プロ写真」の場合は原色の再現範囲が広がるというよりは、黄色などの中間色の再現がより鮮明になり、豊かな色合いで再現された。原色が過度に鮮やかになることもなく、派手さを抑えた忠実な傾向の再現となっていた。このように、より豊かな色再現ができることが「フル・ブラックパネル」の特徴と言えそうだ。

 液晶勢は今やLEDバックライトの採用が一大トレンドとなってきているが、その主流である白色LEDはそれまでの液晶テレビで採用が相次いだ広色域表示には対応できていない。

 広色域表示は、必ずしも必須の機能ではないし、色再現が不自然に感じるという人もいるだろうが、映像の華やかさ、豊かな色の再現というのは比べてみると魅力的であることは確か。注目度の高いLEDバックライト搭載の液晶テレビを見て、どうも色があっさりしすぎているという人には、本機の豊かな色再現をぜひとも確認してみてほしい。


超解像技術も搭載 SD映像がよりシャープに

 TH-P42V2の高画質機能のもうひとつの特徴が、超解像技術によるアップコンバート映像の高精細化処理。地デジやBSデジタルのSD画質の放送やDVDなどの表示時のみに使える機能で、フルHDの1080p映像だけでなく、一般的な地デジ放送の1080i映像でもこの機能を使うことはできなかった。

「超解像:強」(左)と「超解像:オフ」(右)の比較。服の細かい模様がよりはっきりと再現されるほか、やや陰影が濃くなる傾向もある。気になる場合は「中」あたりを選ぶといいだろう

 超解像技術は同社の今春モデルでは数多く搭載されており、BDレコのほか、HDビデオカメラにも採用されている(基本的には同様の処理が行なわれていると思われる)。

 TH-P42V2の場合は、メニューで「オフ/弱/中/強」が選択できる。SDソースの映像で比較すると、服の模様などがよりくっきりと再現され、細かなディテールが蘇る印象だ。細かい文字などもいくぶんはっきりと再現されるが、輪郭が不自然になるようなこともなく、違和感は少ない。

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