3D非対応でも画質の実力はトップクラス
「KURO」より深い!? パナ「VIERA V2」の黒表現
2010年04月21日 12時00分更新
「黒のVIERA」の予備放電レス効果はどこまでわかる?
本機はプラズマテレビでは永遠の課題とも言われる「予備放電レス」を実現したことがアピールポイントとなっており、その圧倒的なネイティブコントラストの高さは、これまでに登場したあらゆるテレビを凌ぐ物となっている。
かつて黒の再現性に徹底してこだわったパイオニアのプラズマテレビ「KURO」を使っている人には気になるところだろう。その黒の表現についてチェックしてみた。
まずは、BSデジタルで放送されていた「コープスブライド」で黒の再現性を確認。これは、ティム・バートン監督によるパペットアニメーション作品で、得意のダークファンタジー的なストーリーも魅力だが、映像もかなり暗い色調で描かれている。
黒いスーツを着た主人公が暗闇を歩き回るなど、暗部の再現性が拙いディスプレーではストーリーを追うことさえ難しい映像なのだが、真っ暗な背景もしっかりと沈み、黒いスーツの質感や微妙な階調もかなり鮮明に再現された。
基本的にかなり高コントラストな映像で、黒の再現や暗部の階調性はなかなかのもの。ただし、一般的な部屋の明るさに合わせた画質モード「スタンダード」では、暗部はややチラチラとしたノイズ感が目立つこともあり、少々不満に感じる部分もある。これを「シネマ」に切り換えると、暗部の再現はしっとりと落ち着く。コントラスト感もやや控えめになるが、映画のようなフィルムの質感としては、こちらの方がマッチしていると思う。
そして、黒に引き込まれがちな暗い色も鮮やかで、コープスブライドのような映像には最適と言えるような映像と言える。一般的な明るさの部屋で楽しむテレビとしては、十分以上の高コントラストで、このあたりに関しては、自宅で使っている「KURO KRP-500M」と肩を並べる実力と言っていい。購入時の価格(60万円超)で言えば半額以下なのだから、技術の進歩には改めて頭が下がる。
そこで、室内の灯りを落とし、映画館のような暗めの環境で見てみると、わずかながら暗部の発光を感じる。暗闇に目が慣れてくると、フレーム部分と画面部分の境目がわかってしまう。予備放電レスならば、黒の部分は完全に非発光となるはずなのだが……。
どうやら、常に予備放電レスで駆動されているわけではなさそうだ。というわけで、予備放電レスに過度な期待をしてしまうと少々物足りない感じもある。ただし、本機の高コントラストな映像や暗部の再現性が見劣りしてしまうようなものではない。
そもそもプラズマ発光の予備放電とは、次の発光のための火種であって、高速な発光を繰り返すプラズマテレビでは必須のものだ。だからこそ、完全な予備放電レスは永遠の課題と言えるもの。今後のさらなる進化に期待したいところだ。
本機の画質性能は、実際に購入を検討できるモデルとしては随一で、映画などを愛好する人にとってはかなり魅力があると思う。3Dソフトが主流になる日が来るかどうかはわからないが、少なくとも当分は主流であるだろう2Dソフトの映像を思う存分に味わい尽くせるモデルだ。
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