あえて古いサーバーを大量投入
さて、実際にコンテナ内に入ると、約350台のサーバーやネットワーク機器が大音量を立てて動作していた。入り口から入るとホットアイル側になるので、かなり暖かい。IT機器がかなりの勢いで排気しているからだ。そして、ドアを開けて、サーバーの前面に回るとコールドアイル。こちらはかなり寒い。体感的には、1つの建物で亜熱帯とツンドラが同居している感じだ。
今回の実験では実運用に近い環境を実現するため、ラック内には省電力対応の行なわれていない古いサーバーが集められたという。サーバーにはベンチマークソフトが組み込まれており、CPU負荷率の重い処理などを実行させることが可能だ。写真を見ればわかるとおり、46Uのラックがかなり密に埋まっている。高密度な実装状態を見ると、これも外部冷却の効果かと感じられる。
現場では、あえて負荷の重い処理を行なわせることで、IT機器の温度を向上。混合運転モードから外気運転モードに強制的に移行するといったデモも行なわれた。
コンテナ型データセンターは
日本の環境負荷軽減技術が生きる分野?
外気冷却方式は決して真新しい考え方ではなく、IIJ自身も「構造としては誰が考えても、だいたい似たようなものになる」(久保氏)と考えている。とはいえ、今回コンテナ型データセンターを見学し、電力消費の低減に大きく寄与する高度な空調制御技術や、断熱性や可搬性を意識して作られたコンテナ、環境状態や電力を詳細に検知するセンサー、照明や防火設備に至るまで、実に多くの技術が取り込まれていることがわかった。
日本でも、さまざまなクラウド型サービスが登場しているが、米国の事業者に比べて規模の面で大きく水を空けられている。そして、スケールが異なれば、コスト面で差を付けられることになるのは明確だ。その点、日本が得意とする環境負荷低減の技術を盛り込んだコンテナ型データセンターは、こうしたギャップを埋める1つの方策になるかもしれない。
実験期間は2010年2月から2011年1月までで、検証終了後はIIJのクラウドサービス「IIJ GIO」のインフラとして導入が検討されることになる。