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西日本のデータセンターという選択肢

ただの放置じゃない!従来型と意外に変わらない充実のスペック

雲出ずる国にIIJのモジュール型データセンター現わる

2011年07月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 7月13日、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2011年4月に開設した「松江データセンターパーク」を報道陣に公開した。島根県の松江市というロケーション、外気冷却をメインにしたコンテナ型ITモジュールなど、注目度の高い同データセンターをレポートする。

クラウドを前提としたIIJの松江データセンターパーク

モジュール型データセンターはチープじゃない

 松江データセンターパークは、クラウドに最適化されたインフラ構築を実現すべく、IIJが島根県松江市に作ったモジュール型データセンター。首都圏のビルに作られた従来型データセンターと異なり、高密度化と省エネを追求したコンテナ型のITモジュールを複数設置できるようになっているのが大きな特徴。また、首都圏から600km離れた地方に建設されているという点も真新しい。今年後半に開設予定のさくらインターネットの石狩データセンターとともに、注目度の高い地方型データセンターといえる。

IIJ サービス事業統括本部 データセンター事業統括部 部長 久保力氏

 見学会の冒頭、IIJのデータセンター事業統括部 部長の久保力氏が、松江データセンターパークの概要や建設に至るまでの背景を説明した。まず同氏が強調したのは、松江データセンターパークが通常のハウジングをメインとしたデータセンターとは異なり、まさにクラウドの構築を目的としている点。「クラウドサービス用のデータセンターとして使うためには、大量のサーバーを短期間で、しかも低コストで利用できるようにする必要がある。この要件は従来のデータセンターでは実現できない」と説明した。これを実現するために、IT機器の高密度な収容を実現し、かつ調達や柔軟を容易に行なえるよう進めた結果が、ファシリティとIT機器を融合したモジュール型データセンターというわけだ。

クラウド時代のデータセンターの要件

 もう1つの大きな特徴は、投資額を抑えたモジュール型データセンターでありながら、従来型データセンターと同等のスペックを確保したという点。ファシリティの堅牢性はもちろん、空調や電気、消火設備、セキュリティ面も十分配慮した。久保氏は、「コンテナを使ったデータセンターといえば、セキュリティもなければ、耐震性もないというイメージを持たれている方も多いが、ここはセキュリティや耐震性など、従来型データセンターのスペックを維持しながら、拡張性や高密度な収容などコンテナのメリットも得られるようになっている」とアピールした。

松江データセンターパークの主要スペック

 では、なぜ松江市か? これには、松江で活動を続けるRuby開発者であるまつもと ゆきひろ氏への支援をはじめとし、島根県がIT産業への振興に力を注いでいる点、そして首都圏や関西圏から遠い距離を活かし災害対策として有効という点、用地取得や電力面での優遇措置が大きかった点も挙げられた。また、電力供給に余力があり、停電リスクも低い中国電力が電力供給を行なっている点も、結果的には大きなメリットとなっているようだ。とはいえ、「できすぎかもしれないが、雲(クラウド)が出ずると書く『出雲』という地名が決め手になった」(IIJ 執行役員 マーケティング本部長 松本光吉氏)といった半分冗談とも思えないコメントも出ており、さまざまな理由があっての用地決定だったことが伺われる。

人が来るのを想定していないロケーション

 さて、今回見学した松江データセンターパークは、松江市の中心部に近接する企業団地に立地されている。出雲空港から車で30~40分、松江市から車で10分程度の高台にあり、松江市内や宍道湖も望める。まわりには店舗がなく、職員も手弁当という状態で、確かに足のよい場所ではない。これはこうした地方型データセンターは遠隔監視が前提で「人が来るのを想定していない」(松本氏)ためだ。

 松江データセンターパークの約8000㎡の敷地には管理棟、電気設備棟といった建物や非常用発電機などが設置されており、これらを2重のフェンスで囲んでいる。ITモジュールは電気設備棟の側面に「横付け」する形で設置され、電気設備棟から電力線やネットワークなどが引き込まれることになる。この配線に関しては、「MISP(Module Inter-connection over the Shortest Path)」という方法により、電源配線や冷媒配線の距離を最小化されており、エネルギーロスや投資の低減が行なわれている。もちろん、十分なN値を確保した強固な地盤上に建てられており、耐震性も高い。むしろ平らにするため削る作業が大変だったとのこと。

松江データセンターパーク施設外観

 データパークの受電容量は2000kVAで、中国電力の異なる変電所から2系統引き込まれている。地方ということで、気になるネットワークも2系統確保しており、IIJの大容量バックボーンに接続されている。また、電気設備棟にはN+1構成のUPSが用意されているほか、外には24時間連続運転可能な非常用発電機が設置されている。もちろん、消火設備やセキュリティ用のカメラも完備しており、久保氏の「従来型データセンターと同等のスペック」というアピールに間違いはなさそうだ。

説明会などが行なわれた管理棟。ここでセキュリティカードなどを受け取るデータセンターパーク自体は二重のフェンスで囲まれている。フェンスが波打っているのは雲らしさを出すためとか

(次ページ、外気冷却の全面採用したITモジュール「IZmo」)


 

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