中国でメーカー製パソコンといえばノート。ノートパソコンよりもデスクトップパソコンのほうがよほど普及しているが、デスクトップというと安価なショップブランドPCというのが一般的で、中国ではデスクトップパソコンでメーカー製はマイナーだ。
なぜ中国でメーカー製デスクトップパソコンが不人気で、ショップブランドのデスクトップパソコンが人気なのか。それには「選べるスペック」「低価格」以上の理由がある。最も大きな理由はパソコンを構成する各パーツがどのメーカーのものか把握でき、パーツレベルで信用できるということ。
逆に言えば、メーカー製パソコンは構成するパーツがブラックボックスであり、ネジを回して中を開けてみないことにはよくわからず、品質的に不安だというのだ。中国的品質問題は当の中国人もあらゆる場面で心配の種となっている。
「とはいえメーカーにはメーカー保証があるだろう」と思うのだが、各パソコンショップは、小さいながら、購入者からのサポートを将来にわたり受け続けるのが当たり前の商習慣だから、実質的には無期限保証を提供している。保証面ではショップブランドPCはメーカー製パソコン以上に魅力があるわけだ。
さて中国IT系ポータルサイトの「中関村在線」が、IT製品のジャンル別でユーザーが「去年最も関心を持ったメーカー」のランキングを発表した。その中でパソコン本体や各パソコンパーツも紹介している。そこから気になる点をピックアップして紹介する。
パーツ別シェアを比較する
パーツショップでショップブランドパソコンを購入する際は、ショップが客からスペックの希望を聞いたあと、各パーツのメーカー情報をリストアップし、客にパーツ変更の希望を聞くのが中国流。
客は変なパーツで組まれては困ると事前勉強し、ショップも信頼面向上がため、著名メーカーのパーツで揃えようとする。そんなわけでパーツのランキングは様々なメーカーが乱戦模様となるわけではなく、メジャーどころがシェアの多くを占める結果となった。
マザーボードはASUSが22.2%でトップ、続いてGIGABYTEが18.6%、MSIが17.2%、そこから離れてBIOSTARが6.5%となった。
チップセットベンダー別では、インテルが47.4%、AMDが40.2%とインテルに軍配。続いてNVIDIAが12.1%のシェアとなり、2008年と比べればインテルとAMDがシェアをそれぞれ伸ばし、NVIDIA1社がシェアを減らす結果となった。
チップセット別ではシェア14.8%の「P43」や14%の「P45」など、「Intel 4シリーズ」チップセットの製品に特に関心が集まり、それに「AMD 7」シリーズチップセットの「AMD 790GX」「AMD 780G」「AMD 770」が続く結果となった。
逆にグラフィックスカードではASUSやMSIのシェアは1桁と少なく、代わりに人気なのは「七彩虹」という中国メーカーで、そのシェアは20.9%。七彩虹に続くのはシェア12.6%の「GALAXY TECHNOLOGY」となり、七彩虹とGALAXY TECHNOLOGYの2強状態となった。
NVIDIA対AMD対決では、NVIDIA製GPU搭載製品が68.1%、AMD製搭載製品が31.9%となり、2008年よりも両社の差が大きくなる結果に。GPU別では、シェア13.9%の「GeForce 9600GT」と、続くシェア10.5%の「GeForce 9800 GT」が特に人気となった。AMDではシェア6.7%の「Radeon HD 4850」が最も人気になったとはいえ、NVIDIAとの差は大きい。
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