リーマンショック以降の不況で、IT のコスト削減は大きなテーマとなっている。しかし、企業のセキュリティレベルはなかなか下げられないし、通信費やコンピューターのコストダウンはもはや限界に近くなっている。こうしたなか、多くの企業で検討されているのがロードバランサーのリプレースである。
高価なロードバランサーを
安価な製品に移行したいニーズが急増
いっぱしのWebサイトを運営する企業であれば、複数のサーバーへのリクエストを効率的に振り分けるロードバランサーは必須といえる。サイトの可用性やパフォーマンスを向上させるロードバランサーは、昨今ではイントラネットや業務システムでの利用も増えている。
しかし、従来のロードバランサーは高嶺の花であった。シングルポイントオブフェイラーにならないよう冗長構成で導入すると、数百万円かかるのが一般的だろう。また、ロードバランサーがより高次なトラフィック管理機能を備えたADC(Application Delivery Controller)やアプリケーションスイッチといった製品として進化を続ける一方、安価でシンプルな製品を必要とするユーザーが増えてきたのも事実だ。
こうしたなか、登場したのが今回紹介する低価格ロードバランサー「ロードマスター」である。ロードマスターはケンプ・テクノロジーズ(以下、KEMP)という米国のベンダーが開発するロードバランサーで、日本では2008年からOPENスクエアが総代理店として取り扱いを開始している。
米国ではWeb直販がほとんどというユニークな製品だが、大学や官公庁、ASP事業者など多くの顧客がついているという。
エントリーモデルは冗長構成で100万円を切る
ロードマスターの売りは、エントリーモデルで49万円という低廉な価格。100万円でアクティブ&スタンバイの冗長構成が組めるわけだ。もちろん製品価格自体が安いので、保守費用も抑えられる。
OPENスクエア代表取締役の田中昭造氏は、「ロードマスターはオープンソースのソフトウェアをベースにすることで、低廉な価格を実現しています。とはいえ、SSLアクセラレーションをサポートしており、レイヤ7での高度なコンテンツスイッチ、データ圧縮など、ユーザーが必要とする機能をサポートしています。また、全機種同じ機能なので、余計なオプションもなく、ソースが単一なので不具合も少ないのです」と価格だけではなく、シンプルさや信頼性の高さを強調する。
そして、このロードマスターの販売やサポートを、このほどシステムインテグレータのアイ・エフ・ティ(以下、IFT)が開始する。IFTは多くのユーザーやパートナーと接するなかで、ロードバランサーの乗り換え需要の強さに驚いたとのこと。
製品としては、大規模サイト事業者から中小企業まですべてを網羅できるという。機器自体の価格を見ると中小企業向けと見られがちだが、負荷分散としての機能は高価なロードバランサーと比べても遜色ないからだ。
とはいえ、まずはASP 事業者と100人程度の小規模事業者を狙う。IFT取締役 ITソリューション事業部 事業部長の中山琢磨氏は、「特に初期コストを抑えたいASPの事業者などは、ロードマスターのような必要十分な機能を搭載している製品に対して大きな期待を抱いています。あとは、100名以下くらいの規模のユーザーさんに積極的にアタックしていきたいです」と話しており、高価なロードバランサーのリース切れ等のタイミングを狙っていくという。
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