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ASCII.jpが選ぶ! 2025年の注目データセンター 第5回

電力容量も再エネ利用もどちらもあきらめない

伸びしろしかない成長株 新興外資系と地方の注目データセンター4選

2025年02月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 企業のインフラを安心して運用できるデータセンターは果たしてどこか? 専門事業者と通信事業者・サービスプロバイダーの次は、豊富な資金をバックにした外資系のMCデジタル・リアルティとデジタルエッジ、再エネ利用やGPUにフォーカスした地方データセンターを運営する京セラコミュニケーションシステム、ハイレゾ香川など、成長株4社のデータセンターを紹介する。

MCデジタル・リアルティのNRT12データセンター

グローバルで300ものデータセンター 大容量電力にフォーカス(MCデジタル・リアルティ)

 デジタル・リアルティ・トラスト(Digital Realty Trust)はデータセンターの所有や運用、取得、運営を行なう北米の不動産投資信託(REIT)会社。単独運営していた複数のデータセンターを北米のファンド会社が取得することで設立され、その後は独立して欧州やアジアに進出。現在はハイパースケーラーを含む多くの事業者がユーザーとなっており、グローバルのデータセンターは50都市、300を越える。

 MCデジタル・リアルティは三菱商事とデジタル・リアルティ・トラストとの折半合弁会社として2017年9月に設立。国内では首都圏の三鷹に2棟、千葉県印西市に位置するNRTキャンパスに2棟、大阪府茨木市・箕面市に位置するKIXキャンパスに4棟という合計8棟のデータセンターをかまえる。

 現在はAIの利用を前提とした大容量電力データセンター展開に注力しており、NVIDIAのAI/ディープラーニング向けプラットフォーム「NVIDIA DGX Systems」に対応する「DGX-Readyデータセンター」認証を取得。最新のPreferred Networksやチューリングの計算基盤として採用されるなどのニュースも続いている。最大31MWのサーバー電力容量を実現する印西地区で3棟目となるNRT14データセンターも着工済みで、2025年12月にオープンする予定。電力容量にフォーカスするユーザーは注目しておきたいデータセンターだ。

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首都圏・関西に着々と拠点を増やす「アジアのエクイニクス」(デジタルエッジ)

 元エクイニクスのエグゼクティブたちがアジアパシフィック地域のデジタルデバイド解消を目指して創業したデータセンター事業者で、本社はシンガポール。ニューヨークのプライベートエクイティ企業であるストーンピークインフラストラクチャパートナーズから10億米ドルを超えるコミットメント資金を確保しており、中国、インド、日本、インドネシア、フィリピン、韓国で17ものデータセンターを展開している。

 日本法人であるデジタルエッジ・ジャパンの日本代表は元エクイニクス・ジャパンの古田敬氏が勤める。国内では2021年に伊藤忠テクノソリューションズのデータセンター5拠点を譲り受けて事業をスタートさせ、2022年には大阪で初の自社設計となる「OSA1」を開設。2023年には大手不動産会社ヒューリックと共同で日本橋小舟町に「TYO7」をオープンさせている。

 企業のリテール需要のみならず、ハイパースケーラーの利用も想定したOSA1は、大阪のデータセンターや通信設備の集約地である堂島エリアにほど近い大阪ビジネスエリアにある。河川氾濫や液状化が置きにくいロケーションで、免震構造の地上16階建てのビルを深さ54mの杭支持で支え、表層地盤の液状化で地盤沈下の影響を抑える。都市型データセンターの選択肢として注目すべき事業者だ。

OSA01のコロケーションスペースはどこかエクイニクスに似ている

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風力+太陽光で再エネ100%のZED石狩(京セラコミュニケーションシステム)

 京セラコミュニケーションシステムが2024年10月に開所したばかりの再エネデータセンター「ゼロエミッション・データセンター 石狩」は、年間を通して冷涼な外気を確保できる北海道石狩市に位置する。従来、石狩と言えばさくらインターネットのデータセンターしかなかったが、ようやく近隣に再エネをコンセプトとしてデータセンターが登場したことになる。

 ラック数は400ラック、受電容量は2~3MWと小規模だが、再生可能エネルギーのみで常時運用する点が大きい。石狩湾新港の洋上風力発電所の電力と近接に新設した太陽光発電所の電力に加え、AIを用いた電力制御や電力需要のタイムシフトにより、カーボンフリー電力をマッチング。国内データセンターで初となる「常時再エネ100%」を謳う。また、間接外気冷却や、床下空調、ロードヒーティングなどを利用した建物内でのエネルギーの循環も行なっている。

昨年10月に開所したばかりの再エネデータセンター「ゼロエミッション・データセンター 石狩」

 さくらの石狩データセンターと同じく、消費電力の高いGPUサーバーにも対応可能。高排熱への対応や水冷方式の導入も計画されているという。

中四国初のAIデータセンターが香川県に(ハイレゾ香川)

 地方型データセンターの最新事例として、ハイレゾ香川のAIデータセンターも紹介しておこう。ハイレゾは石川県の志賀町で国内最大級のGPUデータセンターを運営し、GPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」を展開している。

 ハイレゾ香川は香川県で生成AI向けGPUデータセンターを立ち上げるために設立された特別会社。2024年4月に特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画について、経済産業省からはハイレゾとともに認定を受け、最大約77億円の支援を受けている(最大規模はさくらインターネットの約501億円)。現在は、南海トラフの地震の影響を受けにくいと言われる香川県に2ヶ所のAIデータセンターを構築している。

 2024年12月には、地元財団が運営する研究施設「RISTかがわ」の一部を改修することで、コストダウンを実現した「高松市データセンター」の第一拠点が開設している。NVIDIAの「HGX H200」408基を備えたGPUサーバーをサービスとして提供する。ハイレゾとしては2025年以降は香川県綾川町のほか、佐賀県玄海町でも、廃校を活用したGPU専用データセンターの開設も計画しているとのこと。地方再生型データセンターのモデルとして注目を集めている。

ハイレゾ香川のGPUデータセンター

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