コスト削減100本ノック 第38回
これぞTaaS(Telepresence as a Service)だ!
【38本目】1時間4.5万円で、あのテレプレゼンスが使える!
2010年06月02日 09時00分更新
巨大なスクリーンで臨場感の高いTV会議を実現する「テレプレゼンス」。このテレプレゼンスのシステムと部屋を、なんと時間貸ししてくれるサービスがあるという。サービスを提供しているリージャスのテレプレゼンスルームを取材した。
テレプレゼンスをサービスで提供
テレプレゼンスはコミュニケーションの品質を落とさず、出張の回数を抑制できるという点ではコスト削減に有効だ。特に海外拠点とのやりとりでは、非常に大きなコスト削減効果を発揮する。
テレプレゼンスの強みは、まるで実際に現場に行ったかのような臨場感だ。壁一面に貼り付けられたディスプレイに映るのは遠隔の会議室だが、まるで相手が目の前にいるかのような感覚でやりとりができる。こうしたテレプレゼンスの臨場感は、「名刺交換をしてしまいそう」「顔色や場の空気まで読める」「壁越しに隣の会議室とつながっているかと疑う」など、さまざまな形で表現される。
しかし、なにせシステム全体だと高価なのが玉に瑕だ。大型なディスプレイ、高解像度のカメラ、集音性のよいマイクなどを会議室に最適な形で配置する必要がある。しかも相手に最適な形で伝送するためには品質の高いWAN回線も必要になるし、多地点接続やモバイル環境での利用を考えるのであれば、専用の装置も用意しなければならない。こうしたテレプレゼンスを時間貸しのサービスとして提供しているのが、リージャスである。
リージャスは全世界で1000箇所以上のオフィスを持つレンタルオフィス事業者。日本では22箇所の拠点を持ち、オフィススペースや会議室などを提供している。「1人用のオフィスから、大きな会社のプロジェクトスペースまでさまざまなオフィスをご用意しています」(日本リージャス 会長 -北アジア地区担当 呉偉氏)とのことだ。このリージャスが通信事業者のケーブル&ワイヤレス、TV会議システムベンダーのポリコムと提携し、3月から提供しているのが、このテレプレゼンスサービスである。5月25日現在、世界の14箇所でテレプレゼンスルームが展開されており、日本では東京駅にほど近い大手町ファーストスクエアにテレプレゼンスルームをオープンした。
テレプレゼンスルームは、ポリコムが部屋ごとパッケージとして提供しているもので、もともと同社が買収したディスティニーという企業のシステムを用いている。マイクの配置位置、カメラの角度や高さなどが「職人芸的に」最適化されており、臨場感を最大限に得ることが可能になっているという。呉氏も「最初に使ったときはビックリしました。なにしろきれいですし、画面分割しながら使えば、本当に出張はいらないなと思いました」と、テレプレゼンスの品質を評価する。また、リージャスのテレプレゼンスルーム同士のみならず、標準プロトコルをサポートする汎用のTV会議システムであれば、全世界の拠点で接続できるのも大きな売りといえる。
75%のコスト削減を実現
さて気になるサービスのお値段は、部屋代含めて1時間あたり4万5000円。通常のTV会議システムが1時間あたり2万円(リージャスのサービス)なので倍以上の料金だが、出張にかかる交通費、場所代、宿泊代などを考えたら、とてもお得といえる。「複数の社員の出張の回数が減らせ、時間も節約できます。エコロジの観点からも望ましいです。必要なときだけ使えますので、賢い選択といえます」とのことで、同社の試算では出張する場合に比べ75%のコスト削減が実現するという。
ユーザーはやはり場所柄、外資系企業が多く、用途としてはエグゼクティブ同士のミーティングがかなりの割合を占めているようだ。また、遠隔トレーニングという使い方も行なわれている。講師を呼んだり、トレーニング施設に行くより、安価にトレーニングが実現できる。「接客態度など、表情やしぐさを注意する場合は、既存のTV会議システムでは限界がありましたが、テレプレゼンスではまるで現場にいるようにトレーニングできます」(呉氏)。
サービス開始以来、3カ月ですでに60件の利用があったという。新型インフルエンザをはじめとする伝染病の影響やアイルランドの火山噴火による交通機関のまひなどといった昨今の事態を考えれば、今後こうしたテレプレゼンスの需要はますます高まっていくに違いない。

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