ウイルス対策ソフトの導入を検討しているユーザーにとって、まだまだ実績の高くない統合型製品に移行すべきかは検討すべき事項だ。今回は既存のウイルス対策を利用したまま、クラウドの力でウイルスの検知能力を強化するセキュアブレインの「gred AntiVirusアクセラレータ」を紹介しよう。
ウイルス対策ソフトに限界が近づいている
昨今、企業向けのウイルス対策に大きな変化が訪れている。不正プログラムの種類がどんどん増えていくなかで、既存の検知手法が限界を迎えつつあるのだ。
検出精度の高いパターンファイル方式は、多くのアンチウイルスソフトで採用されているが、パターンファイルのサイズが肥大化しつつあり、パターンファイルを作成するまでに時間がかかるという弱点もある。昨今は脆弱性の発見から、実際のウイルスの発生まで非常に短いので、これは致命的といえる。
これに対しては、パターンファイルに依存しない、ジェネリックやヒューリスティックといった検知手法も採用されているが、プログラムの動作を精査するというのが基本原理なので、誤検知が避けられない。大量の亜種が発生し、しかも限定されたユーザーをターゲットとする攻撃が増えると、こうした手法でも検知できなくなりつつある。
もちろん、複数のアンチウイルスソフトを導入して、検出できない部分を補うという方法もあるが、コストがかかる。また、ウイルス対策ソフトから統合型のセキュリティソフトにアップデートするという方法もあるが、対応OSでなかったり、PCのスペックが不足しているというケースもあるので、万能策とはいえない。
こうしたなか、今使っているウイルス対策ソフトを強化できるユニークなソフトがあるのを知っているだろうか? セキュアブレインの「gred AntiVirusアクセラレータ」である。gred AntiVirusアクセラレータは、既存のウイルス対策ソフトと同居しつつ、検出精度を上げることができるという。
既存のウイルス対策ソフトに
クラウド検知を追加
セキュアブレインは、フィッシング対策やWebセキュリティなど幅広いセキュリティ製品を手がける国産ベンダーで、製品は官公庁や金融機関でも幅広く採用されている。gred AntiVirusアクセラレータは、2009年11月から提供されているウイルス対策ソフトで、米イミュネットの製品をローカライズしたものだ。ウイルス対策ソフトの競合は多いが、「やはりセキュリティベンダーとしては、ウイルス対策ソフトはきちんと出したかったんです。そこで、シマンテックを抜けた日米のメンバー同士で作ったのが、gred AntiVirusアクセラレータになります」(セキュアブレイン 執行役員 マーケティングディレクターの中田 太氏)という。
最大の特徴は、ウイルス情報をクラウド上に持つ点。つまり、ユーザー同士がウイルス情報をクラウドに持ち寄って、最新の脅威に立ち向かうという「コミュニティ型のアンチウイルス」なのだ。「PC本体にエンジンを持たず、ファイル等のハッシュをクラウドに送って、チェック結果を戻すという動作なので、非常に軽量です」(中田氏)。他のウイルス対策ソフトと同居でき、まさに「アクセラレータ」としてウイルスの検知率を向上させることが可能だ。
最新版では、未知のウイルスを検知する「ETHOS」というヒューリスティックエンジンもクラウド上に実装した。もちろん完全日本語されており、インストール等もGUIで簡単に行なえる。
驚くべきは、これだけ豊富な機能を持ちつつ、gred AntiVirusアクセラレータが無償で提供されていることだ。「いつか有償になるんじゃないの? と言われることもありますが、それはありません。フリーソフトとして多くの人たちに使ってもらって、会社名を知ってもらえばいいんです」(中田氏)と、あまり下心は感じられない。こうなるとインターネット上の脅威にとっても脅威だが、ウイルス対策ソフトを出す競合にとっても脅威といえる。
実はこうしたクラウド型のウイルス対策アプローチは、昨今商用のセキュリティソフトが次々と導入しているものだ。今後主流になるのは間違いない。既存のウイルス対策ソフトの検出精度に不安を感じるユーザーは、導入を検討してみたい。
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