普通じゃない!? 電脳街のパソコンフロア
電脳街も紹介しよう。電脳街ではパソコンは重視されていないのか、例えばランドマークとなっている電脳ビル「賽格広場」でも、1階や2階では巨大なフロア全体が電子パーツ売り場に、3階以上がパソコン売り場になっている。他の都市の電脳街では1階はノートパソコン、2階以上はデジタルカメラやPCパーツが相場であり、深センの電脳街だけが異なる。
また、比較的電脳街・電子街の奥のほうにある電子ビル「高科徳電子市場」でもパソコンフロアはあれど上階であり、しかもパソコンフロアといいながら売られているものは液晶モニターや液晶テレビの山寨機、すなわち現場生産の激安ノンブランドの液晶モニターや液晶テレビである。日本ではまずお目にかかることはなく、カルチャーギャップを感じることうけあいだ。
深センは山寨機の工場が集まる聖地でもあるわけだが、それにしても中国には免疫がある筆者ですら、半年から1年おきに深センを訪れては電子街の広がりっぷりに驚愕している。
最近訪ねた深センの電脳街・電子街は去年~半年前の間に訪ねたときの倍近くの大きさになっている。ショップの総面積で言えば秋葉原を確実に超えている。これだけ広がりが急激なのは、電子街の意味合いが単なる中国における電子パーツの集積地から、アジアやアフリカをはじめとした世界各国への山寨機の卸売市場へと変わっているからというのが主な理由だ。
ひょっとしたら数年後には、ハイエンドなガジェットはアキバに、ローエンドなガジェットは深センにと、ワールドワイドな電気街の棲み分けが起こるかもしれない。
電子パーツは客を呼び込めば買ってもらえるわけではないので、店員は小さな店舗の中でパソコンでゲームをしたり、ビデオを見ながらただひたすら客を待っている。
電脳街と違って店員は客にいちいち声をかけないだけに、ここでは中国人がパソコンで何をやっているかを垣間見ることができる。そういう意味でも深センの電子街に足を運ぶ意義がある。
香港も中国本土も日本人はノービザで行けるので、香港に行く機会があればついで深センの華強北路に一度行ってみることをお勧めする。
ただ山寨機市場での撮影は極めて危険でトラブルが発生しやすい。筆者もえらい目にあった経験がある。そこだけは注意しよう。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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