「iPad」が発表され、アメリカで発売された後も、断続的に中国のIT系ニュースメディアがこぞってこの世界的注目度の高い新製品のニュース記事を掲載している。
Appleは、既にiPadを50万台以上出荷している一方、生産がアメリカでの需要に追いつかず、iPadのアメリカ国外での発売時期を1ヵ月延期し5月末にすることを発表した(関連記事)。日本同様に、中国での販売もまだではあるが、「世界的人気製品はなるだけ早く入手したい」というニーズのある中国において、iPadも例外でなく、独自に米国版を輸入し販売を始めている。
オンラインショップでも電脳街のリアル店舗でも販売しており、例えば中国のアキバこと北京の電脳街「中関村」のリアル店舗では、(発売済みの3G無しモデルの)16GBモデルが4800元(約6万7000円)、32GBモデルが5800元(約8万円)、64GBモデルが7000元(10万円弱)で転売されているということがニュースとなっている。
オンラインショッピングサイト最大手の「淘宝網」でも、4000元(約5万6000円)から販売されている。アメリカのApple Storeのサイトでは、16GBモデルが499ドル、32GBモデルが599ドル、64GBモデルが699ドルであり、中国では既に多くのショップが販売しているにも関わらず、転売のマージンは結構な額のようである。
こうしたiPadの中国での転売の状況や米国での販売状況に関するニュースがiPadに関するニュースの一大勢力だ。そしてもうひとつの勢力が、ハードウェアやテクノロジーよりではない簡単な使用レポートや解説記事である。
様々なメディアから多数の記事がリリースされているが、どうも中国ではiPadは新しいガジェットという扱いではなく、「iPod touch」の延長にあるガジェットでもなく、「平板電脳」(意味は文字通り『平べったい電脳』。発音は『ピンパンディエンナウ』)というUltra-Mobile PC(UMPC)に近い概念の製品だと解釈されているようである。
現状のところ中国においては、「MacはPCではない」というのがAppleの特約店でよくみかける広告である。元々小汚い電脳街の一角にAppleの特約店が店を構えていたが、加えてショッピングセンター内のAppleの特約店が年々増えている。

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