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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第61回

死ぬまでに5000本は見たい――巨樹サイトの絶えない愛情

2009年11月23日 12時00分更新

文● 古田雄介

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達人から読者へ、巨樹鑑賞のアドバイス

―― 巨樹のデータやエッセイを読ませていただくと、木の健康状態を気にされている記述がよくあります。20年も続けていると、死んでいった木も結構多いんですかね。

高橋 それはありますね。実際、2回目に見に行ったら枯れていたという木も20本くらいありましたしね。死ぬ直前に、急に葉っぱが全部落ちるなどのサインを出す場合もあるんですが、弱っているところに台風が直撃して駄目になっちゃうということも多いと思います。たとえば伊勢湾台風は50年に一度の規模と言われていて、巨樹が10本以上も倒れたらしいですからね。まあ、自然の摂理なんだろうとは思っていますが、気になることは気になります。

愛用のカメラはキヤノンのEOS-1Ds Mark III。写真のレンズは50mmの単焦点。基本的には広角レンズを多用するという。16-35mmや、24-105mmのズームレンズもよく使うのだとか

―― 巨樹を見に行く際、木を傷めないように注意することがあったら教えてください。見に行って寿命を縮めさせたら気分悪いですし(笑)。

高橋 根元に立ち入らないことですね。根元を踏み固めてしまうと、根が水を吸いにくくなるんですよ。根を避けて歩いてもダメージになるわけです。なるべく木に負担がかからないよう気を使いながら、常識の範囲内で行動すればと思っています。

―― ありがとうございます。もうひとつ、参考のために高橋さんの巨樹ベスト3も教えてください。

高橋 そうですね……熊本県にある「寂心さんのクス」と、佐賀県武雄市にある「武雄の大クス」。あと1本選ぶとすれば……青森県にある「北金ヶ沢のイチョウ」かな。

 だけど、まあ、最初はなんでもいいから巨樹を見てみるのが一番だと思いますね。都会でも神社などのご神木で大きなものがありますから。たとえば、東京だったら東京タワーの近くにある「善福寺のイチョウ」の前に立ってみると、言葉に表せない感じが伝わるんじゃないかなと。

―― 分かりました。では最後に、巨樹研究家としての今後の目標を教えてください。

高橋 死ぬまでに日本で5000本は見たいって感じですかね。現在3000本なので、頑張ればいけるかなと。でも、5000本見たところで、日本の巨樹を全部見たという感じにはならない気もしていますね。

 海外にもたくさん巨樹はあるんですが、そちらには興味が向かないんですよ。日本はこれだけ狭い国土の中に幹周りが10メートルあるような種類の樹木が何十種類もあるんですね。こんな密度のところは、世界中探してもないでしょう。だから、日本が一番。日本だけで十分なんです。

 幹周りが5メートル以上というのが俺の基準なんですが、そういう木を5000本は見たいですね。

高橋氏の著書1『神様の木に会いに行く』東京地図出版

高橋氏の著書2『巨樹・巨木を尋ねて』新日本出版社

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筆者紹介──古田雄介


古田雄介

 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。「古田雄介のブログ」では、皆さんのお勧めサイトを募集中です。また、ワクテカで掲載しきれなかった管理人さんたちの「もっと顔の見えるインターネット」コメントも随時掲載予定です。




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