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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第2回

深く追求するほど、知は広がっていく――『世界の植物』の喜び

2012年08月24日 12時00分更新

文● 古田雄介

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先月、東京カルチャーカルチャーにてライブインタビュー「顔の見えるインターネットナイト! 104人目&105人目の『中の人』登場!」が行なわれた(Ustreamでアーカイブを見る)。その内容をもとに、顔の見えるインターネット“特別編”として、取材記事を掲載している。第2回目の今回は、植物系データベースサイト『世界の植物』『小石川植物園の樹木』の高橋俊一氏だ。

“顔見ナイト”の様子。当連載「顔の見えるインターネット」から生まれた書籍『中の人 ネット界のトップスター26人の素顔』発売を記念して実施された

 ライフワークの研究や調査を元に作られたサイトには、企業でも太刀打ちできないハイクオリティなものがいくつもある。高橋氏は、そんな良質な作品をいくつも作り出してきた。

 『世界の植物』は、高橋氏自らが国内外でみかけた植物の名前の由来をまとめたデータベースだ。1つひとつの植物に関する記事は膨大な参考文献と考察で裏打ちされており、ボリュームがあって濃い。その知識は、東京大学大学院理学系研究科付属植物園・本園(通称 小石川植物園)の樹木のデータベース化を目指す『小石川植物園の樹木』でも活かされている。そのいっぽうで、山手線の高架や橋の成り立ちを調べた『山手線が渡る橋・くぐる橋』や、かつて神田川に注いでいた小川の跡を巡る『谷端川の跡を歩く』など、まったく別ジャンルのサイトも並行して更新している。

『世界の植物』。さまざまな植物の美しい写真とともに、その名前の由来や、植物にまつわる逸話などを紹介しているデータベース系サイトだ

 1948年生まれの建築家で、大手設計事務所に定年まで勤務。現在は個人の設計事務所に身を置きつつ、ライフワークに時間を費やす充実した日々を送っている。とはいえ、そうしてアウトプットされる作品の質と量、多彩さは、普通の趣味人の範囲を軽く超えている。高橋氏は何に喜びを感じ、モチベーションにしているのか。自ら「孤独な質」「凝り性」と語る、高強度のライフワーカーの心を覗いてみたい。

世界の植物 -植物名の由来-

 2006年9月にスタートしたデータベースサイト。世界各国の植物についた学名や和名の由来を、膨大な写真とともに解説している。名前のついたいきさつや、地域で呼ばれている俗名、その他の関連情報なども盛り込んでおり、読み物としても面白い。名前の由来を少し離れて、「枝の構造計算」や「雌雄異株」といった植物に関するトピックス記事も多数揃える。

http://www.geocities.jp/plants_name/

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