複数の製品がまとめて提供されるオールインワン製品が単品で購入するよりはるかにお得というのは、おそらくIT関連製品にとどまらない常識といえるだろう。コスト削減を考えるのであれば、製品導入の際もこうしたオールインワン製品のチョイスも検討してみたい。
マルチベンダー時代の
アプライアンスの価値
現状、多くの企業向けIT製品はサーバのようなハードウェア、OSやアプリケーションのようなソフトウェア、その他保守やサポートなどのサービスという大きく3つから構成されている。オープンシステムが一般的となった昨今では、これらを異なるベンダーで組み合わせるのが普通になっている。サーバ機からOS、ソフトウェアまで同一ベンダーというのはもはや事実上ありえない。
一方で、アプリケーションの導入にあたっては、それなりのコストと手間がかかることになる。サーバのハードウェアを最適化したのち、OSをインストール。セキュリティパッチやアップデート等を適用したのち、各種のOSの設定を行なう。その後、アプリケーションをインストールし、設定を施すことで、ようやく利用可能になる。もちろん、アプリケーションの動作が検証されたものでなければ、きちんとした動作検証が必要になる。エンドユーザーが自身で実行しても手間がかかるし、外部の業者に委託するのであればコストもかかるだろう。
こうしたコストと手間を軽減するために登場したのが、いわゆる「アプライアンス」である。これはOSやソフトウェアをインストールした状態で提供されたコンピュータで、面倒なインストール作業や各種設定を省くことが可能になる。また、保守やサポートも一本化されるため、コスト面での低減効果も大きい。既存のソフトウェアベースの製品の置き換えとしてWebブラウザベースのユーザーインターフェイスを搭載した製品が2000年頃に登場し、現在では幅広いユーザーに利用されている。
アプライアンス化が浸透した代表的な製品ジャンルがセキュリティ製品で、ファイアウォールやVPNなどを実現する製品はすっかりアプライアンス化した。しかももともとアプライアンスは単機能の製品を意味したが、昨今では複数のセキュリティ機能を統合化したオールインワン化が進んでいる。代表的なのがファイアウォールやVPN、アンチウイルス、IPS、コンテンツフィルタリングなどを統合したUTMのような製品が一般的になっている。
昨今ではメールの送受信を行なうメールサーバや動画などの配信を行なうストリーミングサーバ、あるいはデータベースを戦略的な経営や営業活動に活かすためのデータウェアハウスなども、ハードウェアと一体化されたアプライアンスとして提供されている。
(次ページ、「ありそうでなかったグループウェアのアプライアンス」)

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