グループウェアは情報システムの代表的なアプリケーションとして、日本の会社にもすっかり定着している。しかし、グループウェアは汎用性が高い分だけ、利用方法に創意工夫が必要されることも多い。今回のコスト削減100本ノックでは、こうしたグループウェアを使い切る意義について考えてみる。
グループウェアはコスト削減に寄与するか?
グループウェアの導入が本格化したのは、社内でのLAN構築やPCの導入が進んだ1990年代後半である。この時期、高価で導入や運用の難しいクライアント/サーバ型のグループウェアを置き換える存在として、HTTPやCGI、Webブラウザなどインターネットの標準技術やツールを用いたWebグループウェアが登場。サイボウズの「サイボウズOffice」やネオジャパンの「Desknet’s」などの低価格な製品が登場し、決してITリテラシの高いわけではない中小企業が次々と導入を行なった。
それから約10年が経ち、オフィスの情報共有手段として、グループウェアは企業やさまざまな組織にすっかり定着した。集団での共同作業に際して必要となるスケジュールやアドレス帳、掲示板、設備予約などをオールインワン化したグループウェアは、PCやITの導入をまさに実感できるツールといえる。
グループウェアはユーザーの利便性や業務の効率化というメリットが主軸となり、コスト削減の観点で効果測定するのが難しいといわれる。しかし、グループウェアの導入により、紙や印刷にかかるコストの削減が図れる。従来、伝達事項等をすべて紙で行っていた場合、電子化する効果は非常に大きい。また、ネットワーク経由でさまざまな情報を共有できるので、電話やFAXなどの通信コストの削減にも大きく寄与するだろう。さらに、会議や打ち合わせ設定やスケジュール管理、不在時の電話対応なども容易に効率的に行なえるため、従業員は無駄な時間を消費しないで済む。不必要な残業や休日出勤を行なわないで済むので、人件費という面でもコストの削減効果は大きいのだ。
とはいえ、グループウェアは数多くの機能があるため、すべてを完全に使いこなしているユーザーは少ない。たとえば、スケジュールの場合、他のユーザーの予定を把握したり、会議やミーティングの予定を合わせるのに利用できる。また、会議室・施設予約であれば会議室や福利厚生施設、プロジェクタなどの機材の利用を複数の部署で調整する場合に便利だろう。一方で、掲示板や回覧板、ワークフローなどは汎用性が高く、業種や業態によって利用方法も異なるので意外と使われず、「お蔵入り」しているかもしれない。ユーザー側に利用するためのアイデアが必要で、機能面で補うためには運用面でカバーする必要があるからだ。
しかし、これはいかにももったいない。特にオプションではなく、標準機能で用意されている機能(アプリケーション)に関しては、やはり漏らすことなく使いたい。
ここでは、実際にネオジャパンの「desknet’s」を導入することで労務時間を効率化し、コスト削減に寄与した北九州小倉にある小倉第一病院の事例を見てみよう。
(次ページ、実録!完全週休2日制を実現した病院)

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