デジカメも自作/ノンブランドの時代がくる
さて話は変わって、最近登場した山寨機デジカメことノンブランドデジカメについて。
最近になって山寨機デジカメが登場したのも、山寨機ケータイが出たのと根っこは同じ理由だ。中国では山寨ケータイの父と呼ばれるメディアテックが、昨年 3月に当時画像処理エンジンの専業メーカーだったニューコアテクノロジー(NuCore Technology)を買収した。
メディアテックが得たニューコアテクノロジーの技術と、メディアテックの持つ中国市場へのコネクションを融合した結果、中国市場にデジカメ向け LSIが出回るようになった。簡単にデジカメを製作できるLSIが出回れば、携帯電話機と同様に、ノンブランドのデジカメが出るのもまた必然である。
ノンブランドの携帯電話機に比べれば、ノンブランドのデジカメが市場に流通してくるのはこれからという状況だ。それでは、ノンブランドのデジカメはどの程度市場に浸透するのだろうか。
携帯電話と同じ運命を辿ると仮定すれば、性能が高く、ブランドも確立した日本メーカーや、韓国のサムスン、米国のコダックには影響はないが、性能が高くないBenQなどの台湾メーカーや、愛国者など中国メーカーのシェアが大きく奪われることになるだろう。
2000年代前半にはレノボをはじめとしてさまざまなメーカーが、中国デジカメ市場に参入して淘汰された。このときは韓国企業が主にデジカメ用 LSIを提供していたが、性能がとりわけ良かったわけでもなく、技術を持った個人でもデジカメの生産はできず、性能的にも値段的にも中途半端なものであった。
だがメディアテック(旧ニューコアテクノロジー)のデジカメ向けLSIは、性能は未知数だが、少なくとも玄人なら自作デジカメを生産でき、闇流通により今までにない低価格でデジカメをリリースすることができる。メディアテックのLSIをはじめとした携帯電話を構成する各部品単位の性能次第で、ひょっとしたら中国市場で高く評価され、ひいては途上国市場に輸出され高く評価されるかもしれない。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」(http://blogmag.ascii.jp/china/)も絶賛更新中
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