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山谷剛史の「中国IT小話」 第71回

日中間のショッピングは魅力!? ヤフーと「淘宝」の連携

2010年05月18日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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Yahoo!チャイナモール

Yahoo!チャイナモール

「淘宝網」

「淘宝網」

 「Yahoo! Japan」が6月1日を目処に「Yahoo!チャイナモール」をオープンする。プレスリリースによれば、Yahoo!チャイナモールにより、中国で断トツの人気を誇るオンラインショッピングサイト「淘宝網」(タオバオ)の商品を購入することができる。また、その逆に、淘宝網内のサイトに、Yahoo!ショッピングを利用するためのサイト「淘日本」を開設する。

 淘宝網の2009年度の流通総額は約2000億元、日本円にして2兆8000億円と言われている。対して、日本最大のオンラインショッピングサイトである「楽天市場」(楽天ブックス含む)の同年の取引額は約8000億円だ。

中国オンラインショッピング市場規模。棒グラフは市場規模。単位は億元

中国オンラインショッピング市場規模。棒グラフは市場規模。単位は億元

海外購入代行に限定した中国オンラインショッピング市場規模。単位は億元

海外購入代行に限定した中国オンラインショッピング市場規模。単位は億元

 淘宝網がオンラインショッピング市場シェアの8割近くを占める中国と、楽天以外にも数多くオンラインショッピングサイトがあり、有料コンテンツでの取引が多い日本では状況が異なるため、淘宝網と楽天だけを比較して中国のほうが巨大市場と認識するのはナンセンスである。しかし、ともかくそれほど大きなオンラインショッピングサイトとYahoo! Japanが提携する。孫正義氏が「アジア1のインターネット企業を目指す」というが、淘宝網との提携は、アジア1を目指すにあたり王道のプロセスである。

 淘宝網は、オンラインショッピングサイトで、かつYahoo!ショッピングと提携するが、Yahoo!ショッピングや楽天のようにショップ出店型のサイトではなく、「Yahoo!オークション」のような個人出品型のサイトである。なので個人で出品するショップもあるが、とはいえそのほとんどはスタッフ数名から数十名を擁すショップが出品している。電器製品やゲーム機や化粧品やアパレルなど、若者に人気の商品を扱う実店舗が、淘宝網でショップを出すことももはや中国では当たり前だ。

 Yahoo!チャイナモールのサイトには「Yahoo!チャイナモールならファッション、コスメ、アクセサリー、書籍、雑貨、中国グルメなど、日本にいながらお買物ができる」と書いてあるが、当連載の読者なら、むしろノンブランドケータイこと「山寨機」(関連記事)など、怪しげなガジェットに興味ありだろう。そういったものも売っているため、Yahoo!チャイナモールを通して購入できるかもしれない。また当連載で激安液晶テレビやショップブランドの液晶テレビ(関連記事)を紹介したが、こうしたモノも日本から買えるだろう。

 海賊版や偽ブランドも売っている。露骨なソフトの海賊版や偽ブランド以外にも、ファッション雑誌を参考に、同じデザインの服や鞄などを作ってくれるショップもある。これをYahoo! Japanと淘宝網のシステムでどう輸入を防ぐか興味はある。

中国商人は、いつぞや話題になった「イケメンすぎるホームレス」(左)の服も自作し販売する(右 )

 「モノ作りの日本、商売の中国」とよく言われるが、日本企業の中国での一括超大量生産とチェーン店展開のおかげで、中国製のモノが中国で買うよりも安く購入できる。中国人は商売上手とはいうが、それぞれが一国一城の主を目指そうとし、団結しないことから、結果同じモノは日本より高いことがままある。

 言い換えれば中国で安い商品は、日本で売られているメイドインチャイナのものより質が悪いことが多いわけだ。中国のサイトでわざわざ「安かろう悪かろう」のモノを買う日本人がいるのかは疑問だが、もちろんソフトバンクとアリババが日本から淘宝網が利用できるという選択肢を与えたことは文句なくいいと思う。

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