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最新パーツ性能チェック 第63回

格安ハイエンド「GeForce 9800 GTX+」の実力やいかに?

2008年07月17日 20時00分更新

文● Jo_Kubota

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9800GTX+の魅力はNVIDIA PhysX対応にあり?

 前述したようにハードウェア的なトピックはクロックの向上だけなのだが、ソフトウェア的に大きなトピックがある。それはグラフィックスドライバ“ForceWare 177.39β”の存在だ。このドライバが対応するビデオカードはGeForce GTX 280/260、そして9800 GTXと9800 GTX+の4種類のみ。で、このドライバの何がスゴイかと言えば「NVIDIA PhysX」という物理演算ライブラリが実装された点だ(実際には解凍されたフォルダの中にあるNVIDIA PhysXセットアップを実行する必要がある)。
 NVIDIA PhysXは旧称AGEIA PhysXと呼ばれていたもので、AGEIAをNVIDIAが買収して手に入れたリーサルウェポンだ。これまで物理演算カードが各社からリリースされるものの、いまいち華々しい成果を挙げられなかった。しかしNVIDIAが推進するという新たな局面を迎え各ゲームデベロッパが物理演算を取り入れていく方向性を打ち出しており、9800 GTX、9800GTX+は物理演算対応ゲームのスタンダードとして役割を担うことになる。
 とはいえ、現時点でForceWare 177.39βが対応するタイトルはたった2つ。1つは3Dベンチマークのスタンダード「3DMark Vantage」、そしてもうひとつは「Unreal Tournament 3」。加えてUnreal Tournament 3で利用するためには「Unreal Tournament 3 PhysX Mod Pack」をインストールする必要がある。さらに言えば、日本国内でほとんど盛り上がっていないUnreal Tournament 3がNVIDIA PhysXに対応したからといって、9800 GTXと9800GTX+の魅力が急速に高まるはずもなく、しばらくは3DMark VantageのCPUテストが滑らかに動くのを楽しむ程度の存在でしかないと言えるだろう。

タンクローリーを同じ地点から破壊した。PhysX搭載時(写真左)は爆発地点を基点に破片が飛んでいき、破片の数なども違う

ベンチマークで見る9800GTX+

 9800GTX+が9800GTXのクロック向上版ということで、大々的なテストはせず主要なタイトルでクロック向上の効果を見ていきたい。ただ、それだけでは寂しいので現在WHQLドライバとなっているForceWare 175.19とForceWare 177.39βでどれだけ差があるかもチェックしておこう。テスト環境は以下の通りだ。

テスト環境
CPU インテル「Core 2 Extreme QX9650」(3GHz)
マザーボード ASUSTek「P5Q」(P45+ICH10R)
メモリー GeIL「GB24GB8500C5QC」(DDR2-1066 1GBx2)
ビデオカード GeForce 9800 GTX+ /512MB(リファレンスモデル)
GeForce 9800 GTX /512MB(リファレンスモデル)
HDD HGST「HDP725050GLA360」(500GB SerialATA)
電源ユニット サイズ「GOURIKI-550」
OS Windows Vista Ultimate SP1
チップセットドライバ Intel Chipset Software 9.0.0.1007
グラフィックドライバ ForceWare 175.19
ForceWare 177.39β
P5Q

P45+ICH10Rチップセットを搭載したASUSTeK製のマザーボード「P5Q」。FSBは800/1066/1333/1600(OC)MHzに対応、4本のメモリスロットはDDR2-1200/1066/800/667(最大16GBまで)に対応する

P5Q

拡張スロットがPCI Express(2.0)x16×1、PCI Express x1×2、PCI×3という構成。各所に装着されたゴールドのヒートシンクがなんとも特徴的だ

P5Q

オンボードインターフェイスは、ギガビットイーサネット、8chサウンド、IEEE1394、USB2.0など

GB24GB8500C5QC

メモリはGeIL製のDDR2-1066 1GB×2枚を使用した

 テストは「3DMark Vantege」、「3DMark06」、「ロストプラネット エクストリームコンディション」(以下ロストプラネット)、そして「Crysis」の4本だ。3DMark Vantege以外は標準設定のほかにアンチエイリアス x4 MSAAをかけ、異方形フィルタリング16倍にした「高負荷モード」でも計測を行なった。また解像度は3DMark06とロストプラネットが1280×1024、1600×1200、1920×1200の3パターン、Crysisはゲーム自体が重いので1024×768、1280×1024、1600×1200の3パターンで計測を行なった。3DMark VantageはPerfomance、High、Extremeの3パターンだ。
 ロストプラネット、Crysisの設定はDX10モードにて全てのグラフィックスオプションを「高」にしている。そしてオプションでDX10モードがある部分は「DX10」を選んでいる。
 ドライバによる違いだが、以下の組み合わせでテストを行なった。

・9800GTX / ForceWare 175.19
・9800GTX+ / ForceWare 175.19
・9800GTX+ / ForceWare 177.39β
・9800GTX+ / ForceWare 177.39β+PhysX ※3DMark Vantageのみ

 本来なら9800GTXでもForceWare 177.39βのテストをすべきだが、ForceWare 177.39βがレビューア向けにチューンされたものであることを考えると、現時点で正式公開版となるForceWare 175.19で比較を行なうのが妥当であり、ForceWare 177.39βの結果は参考値程度となるため、9800GTXでのテストからは外している。

(次ページへ続く)

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