Crisys
ロストプラネット同様にDirectX 10に対応するFPSタイトル「Crysis」。そのトンでもなく重いグラフィックスは、CPUやメモリを含めたPCの総合的な性能を見るのに適したタイトルだ。設定は全て「高」にし、同タイトルの含まれるGPU Benchmarkモードにて計測を行なった。
傾向的には3DMark06と似たものとなった。9800GTX+は最新ドライバを使えば、解像度1024×768にて約60fpsを叩き出しており、3万円以下のグライフィックスカードでここまで動くのかと感動すら覚える。もちろんある程度高速なCPUも必要とはいえ、昨年に比べればかなりリーズナブルな価格でCrysis専用機を作れる時代になった点は大いに歓迎すべきだろう。
温度と消費電力
最後に温度と消費電力を見てみよう。温度はNVIDIAのnTuneにて、消費電力の計測はワットチェッカーを使っている。計測はアイドル時(EISTは有効)はWindowsが起動してから30分放置した時点を、高負荷時は3DMark06のFeatureテストからPixcel Shaderテストを連続して25回実行し最も高い値を抜き出している。
最初に温度を見ると、アイドル時はどちらもほぼ一緒。クロックは向上しているものの65nmから55nmプロセスになったことで、その分が相殺された形になったと言える。そして高負荷になるとぐっと差は開き、9800GTXが91℃を記録したのに対し、9800GTX+は84℃に収まっている。どちらもGPUクーラーの形状、ファンサイズなどは同一であることから、9800GTX+は9800GTXより低発熱になったことが分かる。
その結果は消費電力にも現れている。アイドル時こそ差はないものの、高負荷になると14Wほどの差がついており、確実に9800GTX+の方が省電力であることが分かる。放熱やマシンの安定性などを考えれば9800GTXよりも9800GTX+を選ぶのが賢明のようだ。
ハイエンドが身近な価格に
GeForce 200シリーズが登場したとはいえ、9800GTXがハイエンド製品なのは違いない。そしてクロック向上版である9800GTX+の性能はベンチマークで語るまでもなく高性能なのは言うまでもない。そのハイエンド製品が今や3万円を切る程度で買えてしまうのは素直に“お得”だと言える。しかしライバルであるAMD ATI Radeon HD4850/4870も当然購入候補の一つとなる。
では9800GTX+を積極的に選ぶ理由は何だろうか。その一つは間違いなくPhysXの存在だろう。まだまだ普及しているとは言えないが、多くのゲームデベロッパに出資や援助をしているNVIDIAだからこそ、今後PhysXがゲームテクノロジの主流になっていくのは想像に難くない。そのとき、9800GTX+であればその恩恵を受けることができるのだ。またこの性能でこの価格であれば、十分コストパフォーマンスに優れており、騒音を除けばどんなゲームタイトルも遊べる“買い”のビデオカードだ。価格は安いけど爆熱の9800GTXか、それともやや省電力化されて高性能になった9800GTX+を選ぶかは悩みどころだが、価格差と将来性を考えれば9800GTXより9800GTX+を買った方が幸せになれるかもしれない。
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