世界中で売られるガジェットの紹介サイトは、ブログでいちジャンルを形成するほど数が多い。その中でも、2001年から運営している「古今東西製品情報」は、変わり種アイテム専門のモノサイトとして定番の地位を築いた別格の存在だ。
しかし、2007年5月を境に更新頻度が激減し、ついに12月からは新しい記事が追加されなくなってしまった。その裏にはどんな事情があるのだろうか。顔が見えるインターネット第16回は、「モチベーションの低下」という危機に直面した、古今東西製品情報の関沢氏に、その原因を語ってもらった。
古今東西製品情報
「液体チェーン」「少女マネキンギター」「平行維持スプーン」など、世界中の珍しいアイテムを画像と短文で紹介する古株サイト。2001年から現在までで約1500種類のアイテムを掲載し、「Hinerido」(ひねり度)という格付けを行っている。各アイテムの記事に過去の関連項目のリンクを張り巡らしており、似た趣(おもむき)のある道具を自在にたどっていける。
「世界に何があって何がないのか」を知りたい
── 古今東西製品情報を始めたきっかけを教えてください。
関沢 第一に、どんな分野でもいいから国内で一番を取って、専門家になりたかったんです。普通、専門家を名乗るには、編集長や教授などの役職になるとか、そういうステップを踏むと思いますが、ネットだったら自分の時間を使って個人で進めていける。
コンテンツを変わり種のガジェット紹介にしたのは、自分で何かを発明して、コンテストで賞をもらったり商品化したいという思いがあったからですね。発明するには、まず「世界に何があって、何がないのか」を切り分けないといけない。だから、まだ世間で目立っていない、ユニークなアイテムを見つけたかったんです。
── サイトの「About」のところに「ワットよりも先に、蒸気機関を作りたかった」と書かれていますね。つまり、発明のための情報収集で始めたわけですか。
関沢 あの標語はさすがに大げさですけどね(笑)。大学で機械工学を専攻していたこともあって、何か新しい道具を作りたいという欲求はあります。
── なるほど。では、そのためにどんな情報網を敷いているんですか?
関沢 海外のガジェット系ブログが主な情報源ですね。情報収集には1日1時間かけていますが、メーカーサイトまでチェックしていると時間が足りなくなってしまう。個人の優良なブログを100件くらい読む感じです。
── 個人ブログがソースだと、どうしても情報の正確性が落ちてしまうと思います。掲載されている中でも「記念日を思い出させてくれる指輪」など、あとでジョークだったと判明したものがいくつかありますが、そういった真偽の判断の難しさみたいなものは感じますか?
関沢 確かに難しいんですが、「面白かったらそのまま紹介してもいい」と判断しています。実際に存在しなくても、そういうのがあったらいいなというのを紹介するのはアリだと。なるべく避けるようにしていますが、あったらあったで仕方がないというスタンスです。
この連載の記事
-
最終回
トピックス
アンサイクロペディア“中の人”が語る、ユーモアの難しさ -
第99回
トピックス
マスコミが報じない“カルト”を記事に 「やや日刊カルト新聞」 -
第98回
トピックス
「もし森ガールが森へ入ったら」アサイさんの超地道な努力 -
第97回
トピックス
死刑は必要? 冷静に考えるためのWeb資料室「刑部」 -
第96回
トピックス
NTT研究者が“錯覚”サイトにかける純粋な感情 -
第95回
トピックス
ネットの「熱さ」、現代アートに――藤城嘘とカオス*ラウンジ -
第94回
トピックス
諸君!革命的美人ブロガー安全ちゃんに刮目せよ! -
第93回
トピックス
探検コムの「広く浅く」が深すぎる! -
第92回
トピックス
金髪ギャル語でニュートリノ、Shoさまが熱い! -
第91回
トピックス
「計画断水」知ってる? ネットで日本の昭和を振り返る -
第90回
トピックス
電子書籍を紙で売る! 「コトリコ」挑戦への道 - この連載の一覧へ