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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第16回

巨大なライバルに、個人サイトはどう対抗すればいい?──苦悩する「古今東西製品情報」

2008年01月21日 09時00分更新

文● 古田雄介

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 世界中で売られるガジェットの紹介サイトは、ブログでいちジャンルを形成するほど数が多い。その中でも、2001年から運営している「古今東西製品情報」は、変わり種アイテム専門のモノサイトとして定番の地位を築いた別格の存在だ。

 しかし、2007年5月を境に更新頻度が激減し、ついに12月からは新しい記事が追加されなくなってしまった。その裏にはどんな事情があるのだろうか。顔が見えるインターネット第16回は、「モチベーションの低下」という危機に直面した、古今東西製品情報の関沢氏に、その原因を語ってもらった。

古今東西製品情報

 「液体チェーン」「少女マネキンギター」「平行維持スプーン」など、世界中の珍しいアイテムを画像と短文で紹介する古株サイト。2001年から現在までで約1500種類のアイテムを掲載し、「Hinerido」(ひねり度)という格付けを行っている。各アイテムの記事に過去の関連項目のリンクを張り巡らしており、似た趣(おもむき)のある道具を自在にたどっていける。




「世界に何があって何がないのか」を知りたい


── 古今東西製品情報を始めたきっかけを教えてください。

関沢 第一に、どんな分野でもいいから国内で一番を取って、専門家になりたかったんです。普通、専門家を名乗るには、編集長や教授などの役職になるとか、そういうステップを踏むと思いますが、ネットだったら自分の時間を使って個人で進めていける。

 コンテンツを変わり種のガジェット紹介にしたのは、自分で何かを発明して、コンテストで賞をもらったり商品化したいという思いがあったからですね。発明するには、まず「世界に何があって、何がないのか」を切り分けないといけない。だから、まだ世間で目立っていない、ユニークなアイテムを見つけたかったんです。

関沢哲氏

関沢あきら氏。大学卒業後はIT畑を渡り歩き、現在はまったく別の業種に転職している。実用性の高いアイテムを評価する一方、個人で購入するガジェットは、「百面体サイコロ」などホビー要素が強いものが多いという


── サイトの「About」のところに「ワットよりも先に、蒸気機関を作りたかった」と書かれていますね。つまり、発明のための情報収集で始めたわけですか。

関沢 あの標語はさすがに大げさですけどね(笑)。大学で機械工学を専攻していたこともあって、何か新しい道具を作りたいという欲求はあります。


── なるほど。では、そのためにどんな情報網を敷いているんですか?

関沢 海外のガジェット系ブログが主な情報源ですね。情報収集には1日1時間かけていますが、メーカーサイトまでチェックしていると時間が足りなくなってしまう。個人の優良なブログを100件くらい読む感じです。


── 個人ブログがソースだと、どうしても情報の正確性が落ちてしまうと思います。掲載されている中でも「記念日を思い出させてくれる指輪」など、あとでジョークだったと判明したものがいくつかありますが、そういった真偽の判断の難しさみたいなものは感じますか?

関沢 確かに難しいんですが、「面白かったらそのまま紹介してもいい」と判断しています。実際に存在しなくても、そういうのがあったらいいなというのを紹介するのはアリだと。なるべく避けるようにしていますが、あったらあったで仕方がないというスタンスです。

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