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ASCII Power Review 第248回

最新AFにマニュアル露出も搭載です

最高性能のポライドカメラ「Polaroid I-2」実写レビュー

2024年05月16日 09時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 往年のインスタントカメラが最高性能で復活!ということで何かと話題のカメラが「Polaroid I-2」(ポラロイド・アイ・ツー)だ。

 当時のポラロイドを知る人には懐かしく感じるデザインに、AFやマニュアル露出に対応と機能も充実している。VISTAL VISIONから試用機をフィルムを借りたので、果たしてどのような撮影が楽しめるのか試してみた。

「Polaroid I-2」実写レビュー

価格は13万9800円の予定だが、現在「GREEN FUNDING」にて支援受付中。本体+フィルム2個で9万8075円などお得なセットがある(6月30日まで台数限定)。

 一般販売の予定価格は13万9800円だが、4月24日12時から、CCCグループの「GREEN FUNDING」(グリーンファンディング)で支援開始となり、12~34.5%お得に購入することができる。ちなみにフィルムパックは8枚撮りで、2パックで6580円となる予定だ。

AFはレーザー光の反射で距離を測定
高性能ファインダー搭載

 全体デザインは、横長の平たい形状や前面のシャッターボタンなど、旧来の製品を彷彿とさせる外観だ。88×107mm(撮影画面は77×79mm)のポラロイド規格のフィルムを使うためサイズはそれなりに大きい。ただ手にしてみると機構がシンプルなせいか思のほか軽く、プラスチックの外装も手触りが良くしっかりとした造りになっている。

「Polaroid I-2」実写レビュー

ボディーサイズは119.3×91.2×149.9mmで重量はボディーのみ563g。なおフィルムカートリッジは約70g(実測)。

「Polaroid I-2」実写レビュー

上面右側に電源ボタンなどの操作系がまとめて配置されている。

「Polaroid I-2」実写レビュー

左側の飛び出したファインダーの形状が独特。

「Polaroid I-2」実写レビュー

背面下部には充電用のUSB Type-Cと外部ストロボ用の2.5mmピンジャック(結構レアだけど)がある。

「Polaroid I-2」実写レビュー

左側面下にあるのがフィルム挿入部の開閉スイッチ。

「Polaroid I-2」実写レビュー

右側面には特に何もないが、見た目のフォルムがカッコイイ。

「Polaroid I-2」実写レビュー

底面はネジ穴があるので三脚の使用が可能。

 操作は上面右側のボタン類とレンズ周りにあるダイヤルでおこなう。撮影モードはオートのほか絞りとシャッタースピードそれぞれの優先にマニュアル露出、最大4枚まで可能な多重露出と3~12秒から4段階で設定できるセルフタイマーがある。

 露出制御は絞りがF8~64で1EV刻み、シャッタースピードは30秒~1/250秒で1/3EV刻み。さらにマニュアル露出ではバルブ撮影も可能だ。

 また、オートでも、ダイヤルを回すと、プログラムシフトのように絞りとシャッタースピードの値を変更できる。ただスローシャッターは1秒までに制限されるようだ。

「Polaroid I-2」実写レビュー

液晶パネルの下にモードボタンと電源ボタン、さらにその下にストロボのボタンが配置されている。

「Polaroid I-2」実写レビュー

レンズの周りのダイヤル。前方が露出や多重露光の枚数、セルフタイマーの秒数などを変更に使い、後方は露出補正になっている。

「Polaroid I-2」実写レビュー

モードボタンを押すと撮影モードが切り替わる。

「Polaroid I-2」実写レビュー

それぞれのモードの設定画面、右からオート、絞り優先、シャッター優先、多重露出、セルフタイマー。

 搭載レンズは98mmF8。一瞬?と思ったが、よく考えれば撮影面は77×79mm(ハッセルブラッドなどのブローニー6×6サイズが56×56mmなのでかなり大きな画面)なので、焦点距離が長いのは当たり前。対角線は約110mmなので、画角では35mm換算では45mmくらいだ。

「Polaroid I-2」実写レビュー

口径が大きく画質が期待できそうなレンズ。49mm径のフィルターも装着できる。

 開放F値もF8と暗めだが、フィルム感度はISO640なのでISO100換算ならF3.2くらいの明るさだ。シャッタースピード上限は1/250秒なので明るい屋外では開放F8だと露出オーバーになる。

 AFは「LiDAR」というレーザー光の反射で距離を測定する方式。AF範囲は最短40cmから8m以上が無限大になり、測距距離はファインダー内に表示される。実際に撮ってみてもテキパキとした動作で素早くピントを合わせてくれた。

 レーザー反射なのでガラス越しで撮影すると手前のガラスにピントが合ってしまうこともあった。そのようなシーンでは、シャッター半押しで測距距離を確認し、遠景にピントが合わない場合はガラスに近づいて対処するか、それでダメなら諦めるしかない。この点を考えると無限遠だけでもMF機構が無いのは惜しい。ファームウェアのアップグレードで実現されるといいのだが。

 ファインダーを覗くと像が大きくクリアな見え方で撮影情報も表示される。とはいえ少し覗く位置がずれると像が乱れ、太陽や照明などの光源がファインダーに入り込むと乱反射を起こし見えにくくなることがある。

「Polaroid I-2」実写レビュー

ファインダー窓は大きめだが、覗く位置によって見にくい場合も。

「Polaroid I-2」実写レビュー

ファインダー内の情報表示には撮影距離(左下部)も表示される。

 ユニークなのは付属のレンズキャップを装着したままだと液晶パネルに警告が表示される機能。これは特に電気的な接点があるわけでなく、おそらく露出が計測できない暗さだと表示される仕組みと思われる。アナログながらナイスなアイディアだ。とはいえ暗い路地で撮影しようとしたときにレンズキャップ警告が表示されたのは御愛嬌。

「Polaroid I-2」実写レビュー

付属のレンズキャップを装着した状態での液晶パネルの表示。

フィルムカートリッジは8枚入り
アナログな発色を楽しむのだ

 前面のカバーを開いてフィルムカートリッジを挿入すると、自動で遮光紙が排出され撮影可能になる。カートリッジには8枚のフィルムが装填されていて、液晶パネルにもフィルム残数が表示される。なおこの残数表示も電気的な通信ではなく、カートリッジの着脱でリセットされるようだ。試しに撮影し終わった空のカートリッジを挿入すると遮光紙排出動作のあと残8枚と表示された。レンズキャップ警告と同様のアナログなギミックは、ガジェット好きにはたまらないだろう。

「Polaroid I-2」実写レビュー

左側面のスイッチで前面カバーが開く

「Polaroid I-2」実写レビュー

そこにフィルムを挿入する。

「Polaroid I-2」実写レビュー

すべてのフィルムを撮影し終える(もしくはカードリッジが未挿入)と液晶パネルの警告が表示される。

 フィルムカードリッジはカラーとモノクロが用意され公式サイトでは3480円。フレームがカラーやランダムなデザインになっているバージョンもあり、コチラはそれぞれ4000円弱。

 撮影したフィルムは像が安定するまで15分くらいかかり、さらに暗所での保管が推奨されている。昔のように潤沢に感材を使用できるわけではないだろうから致し方ないところだ。

 画質は発色には偏りがありヌケもイマイチ、現像ムラが起きることもあった。つまりは、レトロ感がある雰囲気で、実際1990年代頃使っていた4×5判ピールアパートタイプのカラーフィルム(確かType76とか78とかいう名前だった気が)がこのような画質で、当時からキレイといよりは味わいのある発色だったことを思い出し懐かしく感じた。

 以下の作例データは、ポラロイドフィルムをカメラで複写(Re96のLEDライトを光源にRAWで撮影)し、現像時に実際の色調に近づくように調整した(撮影データは手記録をもとにしているため誤りがある可能性があるのでご容赦!)。

「Polaroid I-2」実写レビュー

上空の飛行機もきちんと写って結構シャープだ。絞りF22・シャッタースピード1/160秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

赤系の発色は苦手そうで色乗りは浅い。絞りF11・シャッタースピード1/200秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

空の部分のムラは露出のせいか現像のせいかは不明。絞りF45・シャッタースピード1/40秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

半逆光のせいか露出がオーバー気味に。絞りF22・シャッタースピード1/50秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

開放F8で撮影。焦点距離が長いので結構背景はボケる。絞りF8・シャッタースピード1/250秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

赤系に比べ青系のほうが色は濃いようだ。絞りF22・シャッタースピード1/160秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

日陰での撮影だったがコントラストはしっかりとある。絞りF8・シャッタースピード1/30秒。

 撮ってみて苦労したのが露出だ。順光ならそれなりに適正で撮れるが、明暗差の階調再現が狭いこともあり、逆光ではオーバーになるなど思った通りに写らないこともある。1枚撮影するのに約400円のフィルム代と15分の時間を浪費することから、途中からデジカメや露出計で測定してから撮影するようにした。

「Polaroid I-2」実写レビュー

撮影後、雑にカバンに突っ込んだせいか画面中心部に筋のような現像ムラが。絞りF8・シャッタースピード1/250秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

逆光で撮影。これは意外と適正露出となった。絞りF64・シャッタースピード1/40秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

試しに太陽を直接写し込んで撮影したが、さすがにやりすぎた。絞りF22・シャッタースピード1/40秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

夜の街並みを撮影。なかなか露出あわず3枚目でようやく適正に。絞りF16・シャッタースピード1秒・三脚使用。

「Polaroid I-2」実写レビュー

高架下の落書きと車の光跡がいい感じ。絞りF8・シャッタースピード1/4秒・三脚使用。

「Polaroid I-2」実写レビュー

ストロボを使用。背景も写るようスローシャッターで撮ったが失敗。絞りF8・シャッタースピード2秒・三脚使用。

「Polaroid I-2」実写レビュー

多重露出で撮影。我ながらありがちな写真で反省。絞りF11・シャッタースピード1/125秒×2回。

「Polaroid I-2」実写レビュー

モノクロのフィルムで撮影。若干セピア調な色味。絞りF45・シャッタースピード1/125秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

モノクロフィルムはピーカンの屋外では露出オーバーの傾向が顕著なような気がする。絞りF45・シャッタースピード1/60秒。

「Polaroid I-2」実写レビュー

逆に日陰では少し露出アンダー気味・・・難しいぞ。絞りF8・シャッタースピード1/200秒。

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