「副都心線トンネルウォーク」に続き、地下鉄開通80周年記念イベントとして今度は「新橋駅幻のホーム公開」が1日に実施された。ということで銀座線新橋駅、その西新橋改札周辺にやってきましたASCII.jpミリタリー特別取材班。といっても今日は軍ネタの取材ではなく、この「80周年記念新橋駅幻のホーム公開」イベント取材にやってきたのだ。
さて、この幻の新橋駅とはいったいなんのことだろうか。実は東京メトロ銀座線新橋駅には、今では使われていないホームがあり、それが幻の新橋駅と呼ばれているのだ。この幻のホームは通常は非公開で見ることも入ることもできない。
この幻のホームは東京メトロの成り立ちに密接に関連している。東京メトロは2004年以前は帝都高速度交通営団こと営団地下鉄という特殊法人だったが、そのまた前身は東京地下鉄道、そして東京高速鉄道という2つの民営鉄道会社だったのだ。
まず早川徳次(はやかわのりつぐ)氏率いる東京地下鉄道は1927年(昭和2年)に浅草~上野間を建設、東洋初の地下鉄開業を成し遂げた。そして1934年(昭和9年)新橋まで開業となった。
そしてもう1社が五島慶太(ごとうけいた)氏が率いる東京高速鉄道だ。五島慶太氏は合併や買収を繰り返し、現在の東急グループを作り上げた敏腕企業家だ。この東京高速鉄道は、1938年(昭和13年)から営業を開始し、1939年(昭和14年)1月に渋谷~新橋間全線が開業した。当初、東京地下鉄道は新橋から品川方面への延伸を計画していたため、東京高速鉄道との乗り入れを拒否。地下鉄新橋駅には両社の駅が並立することになったわけだ。乗り換えには一旦改札を出なくてはならないなどかなり不便だったらしい。
結果、当時の内務省の調停で両鉄道の乗り入れが開始されることになり、同年9月に東京地下鉄道側の新橋駅に東京高速鉄道が接続されることになった。これにより東京高速鉄道の新橋駅は閉鎖され、幻のホームとなった、とのことだ。
ちなみに、幻のホームがあるのは地下1階。改札口や券売機があるフロアと同じだ。現在使われているホームは地下2階にあるので、幻のホームは現在の本線より1フロア高い位置にあることになる。そのため、幻のホームへ至る線路は非常に急勾配となっているのだ。
なお、このホームだが現在の銀座線新橋駅西新橋改札付近から8番出口の壁の向こうに存在している。今回のような特別公開があれば見ることが出来るのだが、駅員によると次の公開は未定だが、おそらく開業90周年などのイベント時になるだろうとのこと。ちょっと気の長い話だが、興味のある方は覚えておくと良いかもしれない。
※お詫びと訂正:記事初出時、早川徳次(はやかわのりつぐ)氏は総合家電メーカーのシャープ(株)を創業とありましたが、シャープ株式会社の前身である早川電機工業の創業者は早川徳次(とくじ)氏であり、東京地下鉄道の創業者である早川徳次(のりつぐ)氏とは全くの別人になります。関係各位ならびに読者の方々にご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びし、訂正いたします。
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