去る11月25日、朝霞の「りっくんランド」こと陸上自衛隊広報センター主催の「習志野空挺団見学ツアー」が実施された。ASCII.jpミリタリー特別取材班では、このツアーに同行取材を敢行、陸上自衛隊最精鋭と言われる空挺部隊についてその一端をここにレポートするものである。なお、1月13日に行なわれた「第1空挺団訓練始め」の詳細は後日掲載する予定なので、そちらも期待していてほしい。
空挺団とは?
さて、まずこの「空挺部隊」を皆さんご存じだろうか? わかりやすく言えばパラシュート部隊のことだ。この「空挺」という言葉も、空中を移動するという意味の「空中挺身」という用語から来たと言われている。つまり、飛行場で航空機に搭乗し、目的地まで空を移動し、そして目的地上空で降下する、ということになる。自衛隊にもこの「空挺部隊」は存在しており、その部隊は東京近郊千葉県に駐屯している。この部隊こそ「第1空挺団」と呼ばれる、陸上自衛隊の中でも最精鋭クラスの部隊なのだ。
第1空挺団が駐屯する陸上自衛隊習志野駐屯地は、習志野市にはなく、住所表示的には船橋市となる。近傍には習志野演習場もあり、空挺部隊の降下演習が実施されている。
第1空挺団は部隊人員約2000名、もちろん全員が第一線の戦闘員というわけではなく、後方支援の人員も含めての数字だ。ただし、空挺団には男性隊員しかいない。そして空挺団に所属する隊員は、原則としてレンジャー資格の取得が必要となっている。レンジャー訓練は、駐屯地および千葉県南部の山中で訓練を併せて2ヵ月に渡って行なわれる。千葉県の山地で行なう訓練で支給される食事は1日1食、水筒1本分のみ。不足分の食糧や飲料水はすべて現地調達ということになる。このあまり過酷さには常日頃から鍛えている隊員でも、最低5kgは痩せるとのこと。この非常に厳しい訓練を経て各種スキルを身につけることで「レンジャー」の資格が与えられる。このこともあり第1空挺団隊員の平均年齢は約30歳と結構若い。
また、通常の訓練自体もなかなか厳しい。通常の降下では、高度約340mを飛行する時速約230kmのC-130輸送機やC-1輸送機から降下を実施する。想像できるだろうか? これはまさに新幹線の速度で東京タワーのてっぺんから飛び降りることに匹敵する。さらにこの通常の降下だけではなく、年に1回は雪中降下や水上降下なども実施する。いかに空挺団に所属するということが過酷であり、隊員1人1人に高い能力と技術を要求されるか、ご理解いただけたかと思う。
なお、この第1空挺団だが、1954年(昭和29年)に前身となる部隊が創立され、今年で創隊50周年になるとのことだ。
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