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京阪神の研究、産業、インフラをつなぎグローバルへ ライフサイエンスシェア拠点「O-Nexus」始動

O-Nexus : Osaka Life Science Nexus - THE SHOWCASE -開催レポート

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 CIC Japan合同会社は2026年7月2日、大阪・中之島の未来医療国際拠点「Nakanoshima Qross(中之島クロス)」内の「Osaka Life Science Nexus(O-Nexus)」にて、オープニングイベント「O-Nexus : Osaka Life Science Nexus - THE SHOWCASE -」を開催した。

 O-Nexusは、日本生命保険相互会社とCIC Japanが運営するシェアオフィス・イノベーション拠点。入居企業の事業支援に加え、国内外の拠点とのネットワークやコミュニティイベントを通じて、ライフサイエンス分野を中心とした企業や研究者、スタートアップなどの交流を促す。

左から順に加々美綾乃氏(CIC Catalyst APAC)、小池晴彦氏(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構)、劉雷氏(アストラゼネカ株式会社)、鈴木忍氏(京都大学成長戦略本部)

中之島に、ライフサイエンスの新たな交流拠点

 開会にあたり、一般財団法人未来医療推進機構 理事長の澤芳樹氏が挨拶した。Nakanoshima Qrossの開業から2年が経過する中で、今後さらに強化すべきものとしてエコシステム形成を挙げた。

「私が特に重視しているのは『スタートアップのインキュベーション』、そして最終的にそこへつながる『ファンディング』の仕組みを、ビジネスライクかつグローバルな視点で実現することです」

一般財団法人未来医療推進機構 理事長 澤芳樹氏

 O-Nexusについては、日本生命が基盤を整え、CICが運営を担う体制によって、スタートアップの育成や海外展開につながる拠点になることへの期待を示した。

 続いて開催されたトークセッション「世界とつながる関西ライフサイエンス・エコシステム」には、京都大学成長戦略本部の鈴木忍氏、アストラゼネカ株式会社の劉雷氏、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構の小池晴彦氏が登壇。CIC Catalyst APACの加々美綾乃氏がモデレーターを務めた。

京都の研究、大阪の産業、神戸のインフラをつなぐ

 最初のテーマは、ライフサイエンス分野における関西の強み。

 鈴木氏は、京都大学や大阪大学をはじめとする研究機関、道修町に代表される製薬産業の集積、さらに京都・大阪・神戸で形成されつつあるコミュニティを挙げた。

「ライフサイエンス領域において、アカデミアの知と、それを推進するリーダー、そして人々が集う拠点と場所がそろっていることが、この関西エリアの大きなポテンシャルだと感じています」

京都大学成長戦略本部 鈴木忍氏

 アストラゼネカでオープンイノベーションを担当する劉氏も、研究と産業の蓄積に加えて、人が集まる拠点が増えたことを変化として挙げた。

「もともとあった『地の利』に『箱』ができ、人が集まるようになりました。そこに資金が循環しビジネスが回るという、非常にきれいな発展ステップが上がってきていると実感しています」

 小池氏は、神戸医療産業都市が研究機関、医療機関、スーパーコンピューター「富岳」などを集積し、研究開発や事業化を支援してきた経緯を説明。そのうえで、関西全体では各都市の機能を組み合わせられるとした。

「京都の『サイエンス』、大阪の『産業化』、神戸の『集積・インフラ』が非常にコンパクトな距離感の中に凝縮されています。この3都市が連携することで、グローバルへ一緒に打って出られる強い魅力があると考えています」

不足する経営人材と、大型調達への課題

 セッション後半では、関西のライフサイエンス・エコシステムが抱える課題について議論した。

 鈴木氏は、若手研究者や起業家が海外の研究・事業環境を経験する機会を増やす必要性を指摘した。京都大学では400件を超える特許や研究シーズを扱っており、研究者自身に事業化を委ねるのではなく、大学側が事業開発や資金調達を支援する体制づくりを進めているという。

 劉氏は、日本の基礎研究力を評価しつつ、海外と比較した際の課題として、大型のライセンス契約や資金調達に至るスタートアップの少なさを挙げた。

「最終的な投資チケットサイズ、つまり調達規模の拡大は、業界全体で取り組むべき課題だと感じています」

アストラゼネカ株式会社 劉雷氏

 あわせて、研究者と経営を担うCXO人材をつなぐ仕組みの必要性にも言及した。

 小池氏が課題として挙げたのは、人材の流動性だ。海外では大学、企業、スタートアップ、VCの間を人材が移動することが一般的だとして、日本でも組織を越えたキャリア形成を促す必要があるとした。

「資金面だけでなく、人の交流やキャリアの行き来をスムーズにし、ライフサイエンス領域全体を盛り上げる流れを作る必要があります」

 加々美氏は議論を受け、「ひとつの拠点に閉じるのではなく、エコシステム全体で横に連携して人材や知見を共有することが重要」と整理した。

海外へ出すだけでなく、海外から呼び込む

 グローバル連携では、日本のスタートアップを海外へ送り出すアウトバウンドだけでなく、海外企業や投資家を関西へ呼び込むインバウンドの重要性も議論された。

 小池氏は「世界中の優れたスタートアップやVCが日本の市場や研究レベルに魅力を感じて集まってくるような、双方の架け橋を作りたい」と述べた。

公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 小池晴彦氏

 劉氏は、海外企業から見た日本について、「日本の窓口はどこか、誰に相談すればいいのかがわかりにくい」と指摘。グローバル企業と地域のハブ組織が連携し、海外スタートアップが日本へ進出する際の受け皿を整備する必要があるとした。

 鈴木氏も、海外の技術や研究シーズを日本の大学や病院との共同研究につなぎ、日本発の医薬品や医療機器として育成する取り組みに触れた。

「海外へ送り出すだけでなく、海外のプレイヤーと国内で日常的に交流できる環境を作り、温かく育てていく文化を醸成することが重要だと感じています」

 O-Nexusでは今後、入居企業への支援とともに、大小のコミュニティイベントなどを継続して開催する。京都、大阪、神戸の大学、企業、支援機関などとの連携を通じ、国内外のライフサイエンス関係者が交流する場として運営される。

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