大阪・関西万博の国内外パビリオンで見られる先進的スタートアップ展示
2025年日本国際博覧会こと「EXPO 2025 大阪・関西万博」には、160を超える国と地域、国際機関が参加し、世界からから集まる人たちに向けて自国の文化や活動、ビジネスをPRする絶好の機会になっている。実際に各国のパビリオンではさまざまなスタートアップや注目企業が紹介されており、ビジネスマッチングやピッチイベントなども毎日のように開催されている。ここではスタートアップの紹介に力を入れる国内外のパビリオンを取り上げて紹介する。
[国内編]
大阪ヘルスケアパビリオン
https://www.expo2025.or.jp/domestic-pv/osaka-pv/
地元大阪が出展するパビリオンは「REBORN」をテーマに7つのゾーンを展開。その一つ、「リボーンチャレンジ」
スタートアップの展示がある「リボーンチャレンジ」ゾーンは予約が必要な体験エリアとは別に自由に入場できる
iPS細胞で作られた心筋シートの実物展示や人間洗濯機も見られる
実機や研究内容など展示週替わりで担当者とも話ができる
フューチャーライフヴィレッジ
https://www.expo2025.or.jp/future-index/future-life/flv/
万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、社会課題解決の共有や未来社会を共創する「未来の暮らし」や「未来への行動」に取り組むアイデアや実証実験、企業研究などが紹介されている。スタートアップの展示も多く、起業家が参加するセミナーやイベント、社会課題解決をテーマにした交流会などが行われる。場所は西ゲートから海側の「フューチャーライフゾーン」に設けられたオープンエリアで入場は自由なので気軽に見られる。
中庭の周りにさまざまなオープンスペースやステージが配置されている
展示のジャンルは幅広く、サンプルの配布や体験コーナーもある
スタートアップによる実証実験なども紹介
未来の都市 パビリオン
https://www.expo2025-futurecity.jp/
12の企業と団体が先進的取り組みや社内ベンチャー的ビジネスを15のアトラクションを通じて紹介するパビリオン。子供から大人まで楽しめる内容で、企業展示エリアはCESのような印象があり、実際に現地で出展された製品も見られる。話題の人が乗れる四足歩行ロボット「CORLEO」のプロトタイプもあり、オープンイノベーションについて知る機会にもなっている。
西ゲートより海側の「フューチャーライフゾーン」にあり、館内の見学だけなら比較的予約はとりやすい
展示ゾーンは海外のビジネス展示会のような雰囲気
[欧州編]
スイス パビリオン
https://www.expo2025.or.jp/official-participant/switzerland/
「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」というテーマで、「Augmented Human(人間拡張)」、「Life (生命)」、「Planet(地球)」の3つのテーマを通じて、イノベーティブな展示が行われている。ロボティクス、フードテック、AIなどのディープテック分野に取り組むスタートアップを紹介するエリアがあり、展示内容は定期的に入れ替わる。一部の出展内容は大阪市内にある在大阪スイス領事館(Swissnwx in Japan )でも公開される。
持続可能性のある建材で作られたユニークなパビリオンは人気があり、予約なしの先着順なので待ち時間が長い可能性がある
展示エリアの一つで複数のスタートアップの最新技術を紹介
オーストリア パビリオン
https://www.expo2025.or.jp/official-participant/austria/
スイスパビリオンと並ぶ場所にあり、映像と音楽で文化やビジネスを紹介。AI、ライフサイエンス、空飛ぶクルマなどイノベーティブ技術分野に取り組む企業やスタートアップをピックアップし、デジタルキオスクで紹介してQRコードからアクセスできるようにしている。
楽譜をイメージしたオブジェと通行人をインタラクティブに表示するデジタルアートがポイント。入場は先着順
イノベーティブに取り組む企業やスタートアップをデジタルキオスクで紹介
ドイツ パビリオン
https://www.expo2025.or.jp/official-participant/germany/
サーキュラーエコノミーをテーマに循環社会への取り組みを展示し、ゲーム、AR、AIなどを駆使して体験しながら、関連するビジネスについてもさまざまな情報が得られる。屋外庭園では各州が取り組むビジネスやスタートアップなども紹介されており、情報量がかなり充実している。
サーキュラーエコノミーをテーマにパビリオンもサークルになっている。入場は先着順
入口で渡されるマスコット「サーキュラー」を耳にあてると説明音声が流れる
社会課題解決への取り組みについてインタラクティブに学べる
屋外の庭園では各州のビジネスや起業家らを紹介
イタリア/バチカン パビリオン
https://www.italyexpo2025osaka.it/ja/itariaguan
アトラスやダ・ヴィンチの素描などの国宝級展示と最新テクノロジーが混在する、イタリアならでは空間では、AI、ドモティクス(ホームオートメーション)、ロボティクス、建設中の核融合実験施設のモデルなどを、一部を現代アート作品として展示している。工業デザインを紹介するコーナーもあり、見ごたえがある。
一二を争う人気パビリオンで予約困難だが、先着順で並ぶこともできる
最新技術やスタートアップの取り組みをアートとして紹介している
ポーランド
https://www.expo2025.or.jp/official-participant/poland/
「創造性遺伝子」が代々継承されるという国らしく、食、医療、モビリティ、ゲームなど多様な分野で活躍する企業を紹介。注目されるスタートアップを分野別にまとめてデジタルキオスクでくわしくチェックできるようにしている。
自然とテクノロジーが融合した展示が見られる。予約もしくは先着順で入場できる
各分野で活躍するスタートアップを紹介。明るいデザインが印象的だ
バルトパビリオン
バルト三国のうちラトビアとリトアニアが共同出展企業するパビリオンでは、それぞれの国で活躍するスタートアップをジャンルや目的別に検索してコンタクトできるスマートボードが用意されている。日本でのビジネスマッチングに力を入れており、関連イベントも複数開催されている。
バルト三国のうち二国の共同出展で出入りは自由。検索もしやすい
バングラデシュ パビリオン
南アジアに位置する国で、インドとミャンマーに挟まれたバングラデシュでは、経済成長が進んでおり、世界進出にも力を入れている。バングラデシュ工科大学(BUET)建築学部が設計を担当したパビリオンでは、国が支援する新興ITハブの紹介や、AI、ドローンビジネスをはじめとするスタートアップの活動が展示されている。
アパレル輸出国として知られるバングラデシュ。入場は自由
ITやドローンビジネスにも投資している
モザンビーク パビリオン
アフリカ南東部に位置するモザンビーク共和国は、最貧国のひとつながら経済発展を見せている。華やかな民族カラーに彩られた展示エリアで、ドローン、ウェルネスに挑戦するスタートアップと若い起業家たちをていねいに紹介している。
万博を通じてスタートアップのアピールに力を入れるモザンビークのパビリオンは入場自由
ここで紹介したパビリオン以外に、コモンズと呼ばれる自由入場ができる集合パビリオンでも、自国のビジネスを展示しているところはある。また、メジャーなパビリオンでも意外なところで先進的な取り組みが紹介されていることもある。そうしたところから、これからのビジネスヒントになるアイデアが見つかるかもしれないので、万博ではとにかくいろいろなところを見てまわることをおすすめしたい。
宇宙開発やバイオ、AIなど先端技術に取り組んでいる国が多いことがわかる(写真はUAEパビリオン)
※本記事の内容は2025年4月9日に実施された、「プレスデー」の情報をもとに構成しています。予約の有無、週替わり、期間限定の展示など、最新の展示内容と異なる場合がございます。