筆者のQi歴は11年
MagSafeはiPhoneに限定されず、標準化してきた印象だ
筆者が無接点充電規格の「Qi(チー)」に対応したワイヤレス充電器を最初に使ったのは、今から14年ほど前のパナソニックの「Charge Pad」だった。当初はスマホではなく、パナソニックが発売するQi対応のモバイルバッテリー(QE-PL203)を対象とした製品だった。
Charge Padはパナソニックグループが開発した「ムービングコイル」方式という技術を採用しており、Qi対応デバイスをパッド上のどこに置いても自動的にその位置を検出。続いて給電アームが移動して、即座に充電を開始するというなかなかユニークなものだった。
その数年後の2014年には、Galaxy S7 edgeをCharge Padで充電していた記憶があるので、筆者的にはQi歴11年という感覚だ。昨今では最新規格のQi2が登場し、MagSafeが実現したマグネット吸着による簡単で正しい位置合わせ機能と相まって、ワイヤレス充電の標準化が実現してきた感じだ。
iPhone以外にも便利なMagSafeのマグネット吸着機構は、Qiとは無関係に吸着機能だけを利用したスマホグリップやクレジットカードフォルダ、三脚スタンド、カメラグリップ+物理シャッター機能のガジェットなど、多くの周辺機器が登場している。
もうかれこれ10年以上、iPhoneユーザではない筆者もGalaxy S24 UltraにMagSafeのマグネット吸着機能の付いたPITAKA社のアラミドファイバケース「PinButton」を装着している。その結果、多少の例外はあるが、多くのMagSafe対応周辺機器を活用できている。
MagSafe対応機器に貼り付いた状態で
充電可能なモバイルバッテリーを衝動買い
今回ご紹介する製品は、Qiに対応している筆者のGalaxy S24 UltraにMagSafeと同等のマグネット吸着機能のあるケースを取り付けることで、磁気吸着ワイヤレス充電を実現可能なSHARGE社のQi2対応の10000mAhパワーバンク(モバイルバッテリー)「ICEMAG 2」だ。
メタリックなカラーの厚紙で作られた密閉度の高いオシャレなパッケージを開けると、ICEMAG 2が登場する。本体以外の付属品は日本語を含む多国言語のマニュアルと、有線充電のためのUSBショートケーブル(Type-C 2 Type-C)の2点だ。
筆者はすでに、ICEMAG 2以外にもいくつかのQi対応ワイヤレスパワーバンクを使っている。有線・無線に関わらず、こうしたバッテリーはその物理サイズと重さで、容量はほぼ自動的に決まってしまう。軽くて小さな製品は容量は小さく、重くて大きいと容量が大きい。残念ながらこの世界に例外はない。そして手のひらに乗るサイズのICEMAG 2は実測220gだ。
バッテリーセルの種類がリチウムポリマーかリチウムイオンか? 外装がプラ製かアルミなどの金属か? そしてワイヤレス機能や高速充電などの機能の採否によって、総重量は微妙に変化する。しかし10000mAhのパワーバンクの重量は180~250g程度だ。ICEMAG 2の220gは冷却ファンや折りたたみスタンド機能を搭載したりしているが、極めて標準的な重量だ。
また、本体のどこかにそのスペックが基本的に記載されているので、ヒマなときに読んでおけば納得感が得られるだろう。なお、パワーバンクの世界に“完全なメイド・イン・ジャパン”なんていうのは、もはやツチノコ以上にレアな存在になってきている。
生産国はほぼ100%と言えるほど、中国を含むアジア圏だ。日本の輸入代理店が細かくスペックを指定することも少なくなってきている。多くは最後の化粧直しやパッケージなどに多少手を加えることとPSE関連だろう。そこでICEMAG 2を含む3つのパワーバンクのスペックを興味本位で眺めてみた。
韓国・エアプサンの航空機事故などを見てもわかるように、パワーバンクで最も重要なのは「安全性」であることは間違いない。しかし、そのことはスペック表からはわからない。そして次に大事なのは「充電能力」だろう。中国語の製品情報サイトを見ると「電芯能量」「電池能量」「額定容量」なんて見慣れない言葉が登場することもある。
輸入代理店や販社がしっかりしてMOQ(最小発注数)の重圧にめげずに、国内市場のために海外ベンダーをうまく管理している場合は、国内表現として「公称容量」や「定格容量」といった表現を使うのが一般的だ。しかし前述したような中国での表現をそのまま印字された状態のモノも多い。ちなみに「電芯能量」や「電池能量」は「公称容量」、「額定容量」は「定格容量」に当たる。
一般的にパワーバンクに採用されている内部のリチウムイオン電池は通常3.6V~3.7Vだが、USB出力は5Vのためエネルギー変換のロスを考慮して「定格容量」は「公称容量」(バッテリーセルのmAh)よりも低くなることが一般的だ。感覚的には公称容量が10000mAhなら、定格容量は6000mAhとおよそ6割前後だと思っていれば間違いない。本来ならICEMAG 2のように「公称容量」(10000mAh 36Wh)、「定格容量」(6000mAh[5V 3A])と記述するべきだろう。

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