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共創での新産業創出の場へ CEATEC 2024はスタートアップ企画がより進化

ゼロワンブースターとのコラボでデジタルイノベーションの総合展として進歩を重ねるCEATEC

提供: 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

株式会社ゼロワンブースター 取締役の川島健氏(左)と、CEATECを主催する一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)でCEATEC 2024ネクストジェネレーションパーク企画を担当する飯沼拓也氏(右)

CEATECに起きている変化とは?

 デジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2024」が2024年10月15日から18日の4日間、幕張メッセで開催される。

 完全オンライン開催となった2年間を経て、幕張メッセでのリアル開催に戻ってから2回目の開催となった2023年の「CEATEC 2023」は、来場者数8万9047人、出展者数684社/団体と大盛況に終わったが、そこには、今後のCEATECの方向性を特徴づける、とある傾向が現れていた。出展者数684社/団体のうち153社/団体(2022年度は81社/団体)にものぼる出展者が、スタートアップ企業/大学研究機関だったのである。

 こうした流れもあり、CEATEC 2024では、スタートアップに関連した取り組みがさらに強化されている。CEATEC 2024内でスタートアップ、大学研究機関、企業内新規事業開発部門の出展エリアとなる「ネクストジェネレーションパーク」のパートナー企業として株式会社ゼロワンブースター が企画・運営で参画することとなったのだ。

 本稿では、株式会社ゼロワンブースター 取締役の川島健氏と、CEATECを主催する一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)でCEATEC 2024ネクストジェネレーションパーク企画を担当する飯沼拓也氏に話をききながら、CEATEC 2024の見どころと、その行く末を探った。IT・エレクトロニクス総合展であったCEATECは、2017年よりToward Society 5.0のコンセプトを掲げ、共創のための展示会であることを打ち出してきた。CEATECに、いまどのような変化が起きようとしているのか。

新規事業のタネを探す担当者は必見、ゼロワンブースター企画のピッチとパネルディスカッション

「社内で意思決定ができる立場にある方、決裁権を持っている方にもぜひ参加していただきたい」と話す川島健氏

 まずは、CEATEC 2024ネクストジェネレーションパークとゼロワンブースターのパートナーシップによって実施される予定のプログラムを紹介していこう。

 具体的に実施されるプログラムは10月15日の「CEATEC 2024 ネクストジェネレーションパーク ピッチコンテスト」、16日の「VC & CVC投資トレンドパネルディスカッション - 国内外の機会を探る -」、17日の「事業会社発 新規事業/スピンオフ ピッチコンテスト」、18日の「事業会社スピンオフ戦略 - 専門家によるパネルディスカッション -」の4つ。スタートアップ企業を対象としたピッチコンテストと、専門家によるパネルディスカッションを隔日で交互に実施する形式だ。

>10月15日の「CEATEC 2024 ネクストジェネレーションパーク ピッチコンテスト」
https://www.ceatec.com/ja/conference/detail.html?id=2577

17日の「事業会社発 新規事業/スピンオフ ピッチコンテスト」
https://www.ceatec.com/ja/conference/detail.html?id=2579

 10月15日のCEATEC 2024 ネクストジェネレーションパーク ピッチコンテストは「ネクストジェネレーションパークに出展しているスタートアップ企業」を対象としたもの。独自の耳介脳波(Ear EEG)取得技術により高精度な脳波データ取得を可能にした株式会社CyberneXの事業開発マネージャー 荒井百合香氏や、赤外線とAIを組み合わせた独自の「近感覚センサー」を開発する株式会社Thinkerの取締役CTO 中野基輝氏など、8社が登壇する。

 また、17日の事業会社発 新規事業/スピンオフ ピッチコンテストは「事業会社の新規事業やスピンオフスタートアップ企業」を対象としたもの。海外物流向け保冷ボックスサービスを展開するアルファクエスト株式会社の代表取締役社長 兼 CTO 桶田一夫氏や、ブルーカーボンを活用した環境保全サービスを展開する富士通株式会社のBlueCarbonSink事業担当 西川暢子氏など、8社が登壇する。

 それぞれ、受賞者には来年度のCEATEC 2025ネクストジェネレーションパークへの出展権といった賞品が用意されているので、コンテストそのものにも注目したいところだ。そして、川島健氏の話すように、事業会社やベンチャーキャピタルの方にとっては、協業/投資先候補を探索できる場としても機能するだろう。

16日の「VC & CVC投資トレンドパネルディスカッション - 国内外の機会を探る -」
https://www.ceatec.com/ja/conference/detail.html?id=2578

18日の「事業会社スピンオフ戦略 - 専門家によるパネルディスカッション -」
https://www.ceatec.com/ja/conference/detail.html?id=2576

 一方のパネルディスカッションでは、16日にアークレイアンドパートナーズプライベートリミテッド コーポレートベンチャーキャピタルのフィオナ・クー氏、京都キャピタルパートナーズ株式会社 ベンチャー投資部/部長代理の村田義樹氏、株式会社ゼロワンブースターキャピタル ヴァイスプレジデントの高田信一朗氏が登壇。国内外のVC・CVCによる最新の投資トレンドを解説し、業界の変化や成長の機会について議論する予定だ。

 18日のパネルディスカッションでは、一般社団法人日本経済団体連合会 産業技術本部の森紫苑氏、TONOME株式会社 代表取締役社長の小笠原広大氏、スズキ株式会社 次世代モビリティサービス事業部 スタートアップ事業開発課の齊藤直樹氏、ゼロワンブースターキャピタル 取締役・パートナーの浜宮真輔氏が登壇。行政、運営事務局、スピンオフ起業家それぞれの視点から、スピンオフのメリットや課題、価値について解説していく。

 川島健氏に「どのような人にイベントに参加してほしいか」とたずねてみると「イノベーションに興味がある人全般」との答えが返ってきた。

 「これから事業化を目指している人、資金調達をしようとしている人はもちろん、投資家の皆さん、金融関係の企業に勤めていて、投資先を探している方。そして、これから社内で新規事業を始めたいと思っている方、新規事業を始めたものの、取り組んでいることが正しいのか誤ってるのかわからなくて困っている方。皆さんに参加していただきたいと思っています。

 例えば、弊社では『SPIN X10』というスピンアウト、スピンオフを用いた事業展開を支援する事業を実施しているのですが、本当に情報がなくて困っている方が多いという印象を抱いています。資金調達自体をはじめてするという方も多く見られ、特にファイナンスに関するリテラシーを高めることの難しさを痛感しています。

 他方、ベンチャーキャピタルや金融機関に勤めていて、投資先の企業を探していたり、知見を深めたいという方にも、今回のピッチやパネルディスカッションはおおいにすすめられます。現在、日本のスタートアップは政府レベルで力を入れている分野で、規模感が年々拡大傾向にあり、年間投資額は1兆円に届く規模にまで成長してきました。社内で意思決定ができる立場にある方、決済権を持っている方にもぜひ参加していただきたいですね」(川島健氏)

ゼロワンブースターとCEATECの共通点

 さて、CEATEC 2024ネクストジェネレーションパークで株式会社ゼロワンブースターがパートナー企業となった背景には、どのような想いや狙いがあるのだろうか。ここで一度、同社の事業内容を整理しながら解説していこう。

 同社は2012年にシェアオフィスの運営から事業をスタート。以降「日本を事業創造できる国にして、世界を変える」をミッションとした取り組みを行なってきた。

 具体的に同社の事業の主軸となるのは「起業家・社内起業家の事業化支援」「ベンチャーと大手企業の連携によるオープンイノベーション」「地域における事業創造支援」「大学を始めとする研究・技術開発からの事業化支援」の4つ。実績としては、ベンチャー企業向けアクセラレーションプログラムの企画実績は52件、その過程で採用したスタートアップ企業は342社(いずれも2023年時点)。社内起業プログラムの運営実績は82件、支援チーム数は165チームにのぼる(いずれも2023年時点)。

 最近でこそ「オープンイノベーション」や「大企業とベンチャーの共創」といった取り組みはよく耳にするが、同社は、そうした取り組みが一般化する前から、国内のスタートアップ業界に貢献してきた存在と言える。

 また、川島健氏が「スタートアップに関係することなら、何でも」と語るように、海外スタートアップ企業の日本国内への事業進出支援などにも携わっており、直近では韓国やイタリアの企業の国内進出をサポートしたという。スタートアップ企業の出展が増え続けるCEATECが、国内のスタートアップ事業に精通した同社とパートナーシップを組んだのも、自然な流れであろう。

 CEATEC 2024ネクストジェネレーションパーク企画を担当する飯沼拓也氏は「Toward Society 5.0をコンセプトに掲げるCEATECとしても、スタートアップ、大学機関、さらに新規事業部門(社内ベンチャー、アクセラレータープログラム)の盛り上がりを実感しており、彼らを含む出展者同士または関係者との連携促進に課題を感じておりました。“次世代を担う人や組織を応援する”企画として、出展者や関係者と共に価値を創造する“共創イベント”や投資家や新規事業を推進している方々をお呼びする施策を検討していました。2023年度はアビームコンサルティング株式会社に協力いただきながら実施しており、2024年度はさらに強化するために、一緒になって協力いただけるパートナーを探し、ゼロワンブースター様にお声がけさせていただきました」と話す。CEATECのデジタルイノベーションの総合展としての進化に、同社のこれまでの取り組みがちょうどフィットするかたちで今回のコラボレーションに結びついたと言える。

 「いまのCEATECが持っているテーマと、私たちが取り組んできた大企業とスタートアップの共創に対する考え方は、非常に近いところがあると思います」(川島健氏)

今後のCEATECが目指す姿とは

 はじめに書いた通り、以前のCEATECはIT・エレクトロニクス総合展として開催されていた。だが、本稿で紹介した新たな取り組みにも象徴されるように、その役割や存在意義は時代に合わせて変化を重ねてきた。スタートアップの台頭が目立ち、オープンイノベーションの考え方が広く取り入れられるようになった現代で、これからのCEATECにはどのような変化が見込まれるのだろうか? 川島健氏の見解をきいてみよう。

 「CEATECは、『みんなが知っている展示会』だと思うんです。展示会という形式はベースにありつつも、社内研修で参加したり、大学院の就職活動の一環で参加したりする、日本を代表する老舗の展示会。私たちが今後も関わらせてもらえるなら、『参加者たちが次のステップに進める場所』としての要素を増やしていきたいと思います。大企業、スタートアップ企業、海外から誘致した企業など、さまざまな『実践している人』が集まって交流する場所でもあり、マッチングのハブとしても機能する。CEATECという展示会が持つ、そうした『手段』としての役割がもっと強まっていく……そんなイメージで関わらせていただけたら、と思っています」(川島健氏)

 25周年のメモリアルイヤーを迎えるCEATECが、新しいことを知る出会いと共感、さらに共創で新事業を生み出し、次代の新産業を創出する場へと、次の25年に向けて大きく動き始めた。

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