長崎県五島市で実験、水中カメラと画像認識AIによる「洋上IoT/AIプラットフォーム」を構築
“日本一のおさしみ”が危機? 「海の見える化」で「磯焼け」を防ぐ
2025年02月03日 17時00分更新
MizLinx、LAplust、公益財団法人ながさき地域政策研究所、NTTコミュニケーションズの4社は、長崎県五島市と連携し、「水中映像を軸とした洋上IoT/AIプラットフォーム構築による持続可能な漁業の実現」をテーマとした、ウニの一種であるガンガゼの生息域ヒートマップおよび藻場の生育状況を確認する実証実験に成功した。この実証実験は、総務省の「令和6年度 地域デジタル基盤活用推進事業」に採択されている。
長崎県近海は全国最多の魚種を誇り、「日本一おさしみが美味しいまち」(長崎市)などとアピールしているが、温暖化の影響で磯焼け(岩礁の海藻が減少すること)が発生し、主要な漁場である五島灘の漁獲量は減少している。磯焼けの原因は、ガンガゼなど植食動物による海藻の食害であり、ダイバーによる駆除作業が行われているが、人手不足が課題となっている。
今回の実証実験は、水中カメラによる海中の映像撮影からデータ管理・可視化する「洋上IoT/AIプラットフォーム」を構築し、潜水せずに海中の状況を把握することで駆除の効率化を図るものだ。
実証実験では、MizLinxが開発したハンディタイプとブイタイプの2種類の IoTカメラを使用。ハンディタイプのカメラで撮影した映像を画像認識AIで解析し、ガンガゼの生息域をヒートマップ形式で表示することに成功。これによりガンガゼの生息域を特定することで駆除作業の効率化が図れる。また、ブイタイプのカメラで海藻の生育状況を常時監視し、食害の発生を迅速に発見・対処することが可能になった。
今後、4社は商品・サービス化を進め、全国展開を図る計画だ。さらにAIによる画像認識精度を向上させ、多様な魚種や海藻の判定を可能にする「うみうみプロジェクト」を始動し、海の見える化の実現を目指す。
