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3D都市モデルの開発環境を構築した「PlateauKit + PlateauLab」がPLATEAU AWARD 2023グランプリ獲得

「PLATEAU AWARD 2023 最終審査会・表彰式」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

提供: PLATEAU/国土交通省

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学生部門としてPLATEAUユース賞が新設! 受賞は「スカイランナー 高層の冒険者」

 今年度から学生を対象に新設されたPLATEAUユース賞。受賞はチーム「KND-3」の「スカイランナー 高層の冒険者」(以下、スカイランナー)。KND-3は2023年11月に開催された「KYOTO PLATEAU Hack 2023」で初めてUnityにチャレンジした、嵯峨美術大学観光デザイン領域の学生6人からなるチームだ。

PLATEAUユース賞を受賞したチーム「KND-3」のメンバーと、審査委員長の齋藤 精一氏(左)

 スカイランナーは、PLATEAUの3D都市モデルの魅力の1つである「普段見られない視点に立つことができる」をコンセプトにした3Dアクションゲーム。制作にあたってはゲーム『Only Up!』の何度も挑戦したくなるゲーム性を参考にしたという。

 プレイヤーは、冒険者となって実際にある建物とその都市特有のオブジェクトが配置されたステージを駆け巡り、ゴールを目指す。ステージは東京都と京都・先斗町の2つ。プレイヤーの動作は「走る」「つかむ」「ジャンプする」「登る」の4つ。落下しないようにオブジェクトの間をジャンプして、指定されるアイテムを集めていき、アイテムを集めることで一番高い建物に登ることができる。ただし、地域ならではのアイテム、例えば東京都のステージでは発祥とされるあんみつや大福、京都では鴨や抹茶など以外にふれると一番下まで落下してしまう。

東京都のステージのゴールは東京タワー。直接登ることはできない。三人称視点、一人称視点を切り替えて多角的な視点でゲームを進めることができる

キャラクターは初期設定では赤ジャージを着用しているが、ステージ内でコスチュームをゲットしカスタマイズすることができる。

頂点から見下ろしたときの達成感がこのゲームの一番の核

 

 今後も、47都道府県のフィールドの作成、VRでのプレイ、対戦モードでの同時プレイの実現を目指し開発を続けていく予定だ。いずれはSteamに配信することも考えているという。

 PLATEAUユース賞授賞の理由を審査委員長の齋藤氏は次のように述べた。

齋藤氏:今回PLATEAUユース賞が新設されたということで、激励賞としてお贈りします。もちろんゲームとしてどれだけ面白いかというところも重要なのですが、その地域にあるものをどう表現して、どう知ってもらうかというところが、荒削りなんですけれども非常に面白く表現されていたと思います。この賞をお渡したからには、ぜひ今後も開発を続けていただきたいです。おめでとうございます。

受賞したKND-3のメンバーは「ハッカソンで何もわからないところから始めて、独学でUnityを学びながら企画・実装してくれたメンバーに支えられてチームでここまで来ることができました」とコメント

PLATEAU賞は「Machi Plus」、ゲーム感覚でPLATEAUのテクスチャ作成!

 PLATEAU賞は同じ会社の有志によるチーム「IRODUKURI」の「Machi Plus」が受賞した。

PLATEAU賞を受賞したチーム「IRODUKURI」のメンバーと、審査員の内山 裕弥氏(左)

 同アプリは、「開発者は、作りたいエリアのテクスチャがなく、満足のいくゲームが作れない」、「ユーザーは、自分たちの街のおもしろいゲームで遊びたいが、それがない」、「国や地方公共団体は、よりよい3D都市モデルを整備したいが、整備にお金がかかる」という三者のPLATEAUにまつわる課題を同時に解決するというもの。

 建物の写真を撮影・登録すればゲームで使えるポイントを獲得できる、というインセンティブを与えることで、3D都市モデルのテクスチャ改善によるPLATEAUの価値向上、3D都市モデルを活用したより魅力的なゲームのリリース、ユーザーによるさらなる建物の写真の撮影・登録、というサイクルの循環を狙っている。

ユーザーが撮影した建物写真を蓄積していくことで、PLATEAUを活用する人が増え、それによってPLATEAUの価値が上がっていく

 

 システム構成図は次のとおり。

Machi Plusシステム構成図。データの流れは大きく2つあり、1つ目が建物の写真やUV展開図など建物系のデータ、2つ目がポイント情報などユーザー系のデータ。これらの情報をクラウドを介してやり取りを行う

 まず、ユーザーがMachi Plus for USERで建物の写真を撮る(インセンティブとして、よりゲームが楽しめるポイントを獲得できる)。必要なのは建物の壁面部分であり、ユーザーは撮影する建物および撮影する建物の壁面を選択し撮影する。撮影後、写真の台形補正を行って登録する。

 ユーザーから集まった画像を建築物モデルのテクスチャに反映するツールがMachi Plus for Developer。PLATEAU SDK for Unityをインストール済みのUnity上でテクスチャを反映したい建築物モデルを選択し、実行することで画像と合成されたUV展開図をマップに自動で反映する。

 そして、クオリティーの上がったマップを使って魅力的なゲームを開発し、Machi Plus for APP上にリリースするという流れになる。

画像+UV展開図から合成版UV展開図を自動生成、マップに反映

 プレゼンではサンプルゲームとして開発した「GRAY ZONE」が紹介された。GRAY ZONEはPLATEAUを活用したMRタワーディフェンスゲーム。ユーザーは写真撮影で獲得したポイントを使ってキャラクターを仲間にしてゲームを有利に進めることができるというもの。

 Machi PlusおよびGRAY ZONEはすでに一般向けにリリースされている。

 PLATEAU賞の授賞理由を審査員の内山氏は次のように述べた。

内山氏:PLATEAU賞にはPLATEAUを使って新しい価値を生み出すという意味もあるし、PLATEAU自体の価値を引き出すみたいな意味もあるのですが、この作品は後者にぴったりだと思っています。テクスチャがないというのはPLATEAUを触ったことある人がよく思うことで、「クラウドソーシングでたくさんの人が撮影したものを貼り付けられるようにすればいい」といったアイデアはたくさん聞いてきました。ですが、実装するとなるとなかなか難しい。みんながほしいなと思ったことをちゃんと動くところまで作り込んだというところがすばらしい。ぜひ開発を継続してもらって、PLATEAUにもっとテクスチャを供給してもらえるとうれしいです。

受賞したIRODUKURIのメンバーは「こういうプロダクトをせっかく作ったので、いろいろな地域で“まちおこし"に活用できればと思います」とコメント

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