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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第56回

画像生成AIの著作権問題、文化庁議論で争点はっきり

2024年03月11日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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海賊版、ニュース記事の学習も議論に

 もう1つ論点になったのは、学習段階で海賊版を使うことをより厳しくするという点です。

 海賊版の被害を受けている創作者は全面的に禁止してほしいと考えていますし、AI事業者は自動収集の過程であまりにきつい条件だと困るということで、争点になっています。海賊版についての記述も当初案よりもかなり増えました。「学習データの収集時に権利侵害を助長することのない状態が実現されることが望ましい」と、義務化までは至っていないものの、かなり具体的に努力をすることがAI開発事業者に求められています。

AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年2月29日時点版(見え消し) P28-29(2ページ渡っていたので筆者が編集している)

 さらに、新聞社などが組織する新聞協会から出ていた意見を反映させたと言われている部分もありました。将来的にニュース記事などをデータベースとして販売する計画があると主張すれば、学習データにできない可能性があるというものです。1月案では、いくらでも解釈を拡大できそうにも読み取れ、AI事業者やAI研究者からは不安の声が上がっていました。過去にデータベースの販売実績がある必要があるなどの付帯条件が追記されました。例えば極論ですが、単にSNSにイラストを何枚もアップしていて「将来データベースとして売る予定だ」と言っても、主張が成り立たない可能性が高いということですね。

パブコメの結果より、P.2

 声については、現状の著作権法ではそもそも保護対象となっていないということもあり、パブコメでも「検討すべき」という意見が上がっているものでした。争点としては認識されていますが、今後の別の機会の議論に委ねられることになりそうです。ただ、具体的な検討スケジュールなどは未定のようです。

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