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子育て世代女性の起業、就業をサポートする堺市の地域コミュニティ

「子育て世代のはたらく女性cha-shitsuプログラムキックオフ(座談会)」、「イノベる!なかもず2023inモズキタ」レポート

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

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 2023年10月20日、インキュベーション施設「さかい新事業創造センター(S-Cube)」1階のイノベーション交流・共創拠点「Community room cha-shitsu(略称:茶室)」のオープニングセレモニーが開催された。並行して、10月20日と21日の2日間にわたり、大阪府堺市の「中百舌鳥駅北部(モズキタ)エリア」で、地域イベント「イノベる!なかもず2023inモズキタ」が行われた。同イベントはNAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアムが主催し、「人を呼び込み」、「交流を生み出し」、「ビジネスを育てる」エリアの実現に向けて、モズキタエリアのポテンシャルを確認することを目的とするもの。

 オープニングセレモニーに先立って行われた「子育て世代のはたらく女性cha-shitsuプログラムキックオフ(座談会)」の様子と、「イノベる!なかもず2023inモズキタ」に出展していたスタートアップ企業2社を紹介しよう。

「子育て世代のはたらく女性cha-shitsuプログラムキックオフ(座談会)」では、子育て世代の女性たちが起業や独立、スタートアップへの就業という新たな選択肢も視野に入れながら自分らしくはたらき続けていくために、地域ではどんなサポートが求められるのかについて、起業を経験した女性たちが集い、自らの経験を踏まえて語り合った。

 イノベーション交流・共創拠点「Community room cha-shitsu(以下、茶室)」は、起業家やスタートアップ企業の従事者、新規事業創出や社会課題の解決に取り組む企業や学生、支援者が集い、交流・共創する場として開設された。

「茶室」を運営する株式会社ATOMicaは、ソーシャルコワーキング事業を展開する2019年設立のスタートアップ。地域密着型のコワーキングスペースやコミュニティ運営を手掛けており、堺市では「茶室」の総合プロデュースと運営を担当する。

「茶室」では、スタートアップや起業をめざす社会人や学生、その支援者だけでなく、幅広い世代や立場の人々が交流し、コミュニティを広げることを目指しており、女性起業家を支援するプログラム「子育て世代のはたらく女性cha-shitsuプログラム」を企画している。今回の座談会は、そのキックオフとして実施された。

 座談会には、株式会社マミー・クリスタル代表取締役社長の新田昌恵氏、同取締役副社長 松田綾子氏、同取締役 角田彩氏、ネイルサロン「Gentle Nail」を経営する東彩氏、ポーセラーツサロンを経営する寺嶋未央氏が参加し、株式会社ATOMicaブランドデザインチームの澤田千佳氏とブランドデザインチーム/広報の伊東夕佳氏の司会のもと、プログラムの内容について意見交換した。

子育て世代の起業は、地域コミュニティとつながるのが第一歩

澤田氏:子育てをしている女性の働き方は、アルバイトやパートなどのイメージがありますが、起業という選択肢も知っていただきたい、というのが本プログラムの目的です。今回はせっかく「茶室」で開催するプログラムですので、スタートアップと子育て世代の女性の方々をつなげられたら、と考えています。

株式会社ATOMicaブランドデザインチーム 澤田 千佳氏

 たたき台として現状の検討しているプログラム全体の枠組みは、「STEP 01 スキルの棚卸し」、「STEP 02 インプット」、「STEP 03 交流/マッチング」、「STEP 04 実践」――という流れを考えていますが、具体的な支援内容の参考として、今回、みなさんには起業時に大変だったことや、成功した理由をお伺いしたいです。

新田氏:私が起業したのは、2011年の東日本大震災がきっかけです。当時は専業主婦として子育てに専念しており、夫の転勤で摂津市に引っ越したばかりで地域に知り合いがおらず不安に感じたことから、社会との接点が少ないお母さん同士がつながるために、マミー・クリスタルの活動を始めました。習い事サークルから始めて、コミュニティが広がるにつれてお仕事の依頼が増えてきたことから法人化したというのが経緯です。個人で活動していたときは、ひとりで仕事を抱え過ぎて苦しくなることがありましたが、起業してからは、メンバーと役割分担できるのですごく楽になりましたね。

株式会社マミー・クリスタル 代表取締役社長 新田 昌恵氏

伊東氏:チーム作りは大変だったのではないですか?

新田氏:大変でしたね。チームを作るために私が心がけたのは、常に発信すること。私が何をやりたいかをメンバーに伝え、相手の得意なことを聞き出し、お互いの得意分野を知ることが大事だと思います。

松田氏:私は新田さんと境遇が似ていて、関東から摂津市に引っ越して知り合いがいなかったので、マミー・クリスタルを見つけて、起業相談に申し込んだのがきっかけです。大変なのは、育児に時間が取られるので、いかに効率よく仕事をするか。子育てしながら働くには自分のスタイルを見つけることが大事だと思います。マミー・クリスタルの場合、新田さんは0から1を生むのが得意なので、私は1から100に増やすのが役割。そして、それらを整理してくれるのが角田さんです。

株式会社マミー・クリスタル 取締役副社長 松田 綾子氏

角田氏:私は、以前は会社員として働いており、2人目の子どもの育休中に起業を決意しました。経済的にも起業は魅力的でしたし、シングルマザーなので何かのときには子どものことを頼めるように地域の人たちとつながりたいと思ったのが理由です。最初はSNSを通じて活動し、ひとりでの限界を感じていたところ、マミー・クリスタルに出会って参画した、というのが経緯です。環境さえあれば、子育てしながらでも起業ができるんだ、と実感しています。

株式会社マミー・クリスタル 取締役 角田 彩氏

寺嶋氏:私は吹田市で、磁器に色や絵をつけるポーセラーツの教室を経営しています。私の場合は子育てしながらハンドメイドの仕事をしたいと思っていたのですが、当初は家族の理解をなかなか得られませんでした。でも、諦めきれずに自分で勉強して資格を取り、マミー・クリスタルに出会って松田さんたちに起業相談をして、最初は場所を借りながら教室を始めました。起業するまでの3年間は苦しかったですね。起業したくても周囲が応援してくれないというケースもあると思うので、そこをどう乗り越えるか。今となってはビジネスの現実・大変さをわかっている夫が反対していた理由も納得できますし、理解を得た今は助けてもらいながら経営しています。一人で経営しているので相談する相手がいないのが悩みですが、自分の時間を大事にしながら、好きなことを仕事にできていることにやりがいを感じています。

W-PIATTO SALON 寺嶋 未央氏

東氏:私はネイルサロンを2023年10月にオープンしたばかりです。ネイルの資格を取ったのは10年前で5年ほどネイルサロンに勤めていましたが、結婚・出産後に再就職を考えたところ、待機児童問題で保育園に預けられない、という壁にぶつかりました。そんな中、マミー・クリスタルを知り、子どもを預けながらサロンを開いたのが最初です。子どもが小さいうちは、急な発熱などでお休みすることもあるので、柔軟に仕事を調整してくれる・サポートしてくれるのは助かります。子どもが大きくなった数年後に独立する計画を立てて、経営について学び、物件などもマミー・クリスタルに相談して準備を進めたことでスムーズに起業できました。起業は孤独との戦いなので、子育て女性の起業家コミュニティに相談できるのは心強いです。

Gentle Nail オーナーネイリスト 東 彩氏

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