実行環境はハイスペックだが、5年後にはスマホにも?
ただし、Unreal EngineのPCGはまだ試験的なプログラムで、プログラムの実行環境はGeForce RTX 2080以上となかなか高スペック。「プレイステーション5」のGPUの処理能力が10.3TFLOPSとされているので、大体RTX 2080に相当する性能です。そのため、PS5やXbox Series Xといった最新ゲーム機を念頭に開発された技術だと思います。
PCGはマップを開いた瞬間にコンテンツを生成するためビデオメモリーを必要とするんですね。たとえばSteamユーザーのメインユーザーはいまだにGeForce GTX 1000台のシェアが一番大きいので、PCGをフルに使うゲームが登場しても適切に動作しない可能性があります。実は、個人的にPCGを「Steam Deck」で動かせないか試してみたのですが、フレームレートが1桁台でしたので、携帯機での実用は無理そうだなと思いました。Steam DeckのGPUはGTX 1050程度と言われており、RTX 2080と比べると5分の1程度の性能です。
ただし、今後もGPUの性能向上と低価格化のトレンドは続くでしょうから、ハイエンドゲーム機向けに登場した技術が、5年程度のズレで携帯ゲーム機やスマートフォンなどでも動くようになるでしょう。その頃にはPCGで作られた、永遠に冒険できるオープンワールドがいくつも出ている状態に変わってくるのではないかと予想しています。
また、生成AIと組み合わさって新しいサービスなりゲームなり登場してくるだろうと思います。どのように設計していくのかという難しさはありますが、ChatGPTで適当に命令すると、プロシージャルのパラメータに分解してくれて、適切な世界を構成してくれるというようなサービスの構築は実際に作られてくるでしょう。
この連載の記事
-
第69回
AI
“革命”起こした画像生成AIに暗雲 「Stable Diffusion 3 Medium」の厳しい船出 -
第68回
AI
AIが作る3Dモデルの完成度が上がってきた 毎回異なるモンスターが生成されるゲームも実現か -
第67回
AI
アドビの画像生成AI機能がまた進化 白黒3Dモデルがリアルな都市に -
第66回
AI
有名人そっくり、増え続けるAI音声 “声の権利”どう守る -
第65回
AI
画像生成AIに照明革命 日本と世界で同時に“神ツール”登場 -
第64回
AI
自分好みのAIチャット相手を簡単に作れる「Dify」が面白い -
第63回
AI
まるで“いけない話ができるChatGPT” ローカルAI「Command R+」の爆発的な可能性 -
第62回
AI
動画生成AI、映像制作の“民主化”目指して研究進む -
第61回
AI
画像生成AI“児童ポルノ”学習問題、日本では表現規制の議論にも -
第60回
AI
3Dアニメーション技術の革新が止まらない -
第59回
AI
政府、生成AI推進に向けて議論を加速 - この連載の一覧へ