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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第29回

ゲームの“自動生成”技術がすごいことになっている

2023年07月10日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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実行環境はハイスペックだが、5年後にはスマホにも?

 ただし、Unreal EngineのPCGはまだ試験的なプログラムで、プログラムの実行環境はGeForce RTX 2080以上となかなか高スペック。「プレイステーション5」のGPUの処理能力が10.3TFLOPSとされているので、大体RTX 2080に相当する性能です。そのため、PS5やXbox Series Xといった最新ゲーム機を念頭に開発された技術だと思います。

 PCGはマップを開いた瞬間にコンテンツを生成するためビデオメモリーを必要とするんですね。たとえばSteamユーザーのメインユーザーはいまだにGeForce GTX 1000台のシェアが一番大きいので、PCGをフルに使うゲームが登場しても適切に動作しない可能性があります。実は、個人的にPCGを「Steam Deck」で動かせないか試してみたのですが、フレームレートが1桁台でしたので、携帯機での実用は無理そうだなと思いました。Steam DeckのGPUはGTX 1050程度と言われており、RTX 2080と比べると5分の1程度の性能です。

 ただし、今後もGPUの性能向上と低価格化のトレンドは続くでしょうから、ハイエンドゲーム機向けに登場した技術が、5年程度のズレで携帯ゲーム機やスマートフォンなどでも動くようになるでしょう。その頃にはPCGで作られた、永遠に冒険できるオープンワールドがいくつも出ている状態に変わってくるのではないかと予想しています。

 また、生成AIと組み合わさって新しいサービスなりゲームなり登場してくるだろうと思います。どのように設計していくのかという難しさはありますが、ChatGPTで適当に命令すると、プロシージャルのパラメータに分解してくれて、適切な世界を構成してくれるというようなサービスの構築は実際に作られてくるでしょう。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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