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スタートアップ4社が独自技術で取り組むカーボンニュートラル社会の実現

オープンイノベーションピッチ in Central Japan

特集
JOIC:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会

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カーボンニュートラルに取り組むスタートアップ4社によるピッチ

 江崎氏による基調講演に続いて、4社のスタートアップによるピッチが行われた。各社が開発している技術や製品を中心に紹介する。

CO2削減を改善提案プロセスに載せる
エイトス株式会社

 エイトス株式会社は2019年に愛知で創業されたスタートアップで、製造業の現場で良く行われている改善提案のワークフローをデジタル化したツール「Cayzen(カイゼン)」の開発と販売を行っている。まだまだ紙ベースの提案書で実施されることの多い改善提案をデジタル化し、アイデアのシェアをできるようにしたり、誰もがフィードバックしたりできるようにする機能を提供している。

エイトス株式会社 代表取締役 嶋田 亘 氏

 各企業でのカーボンニュートラルへの取り組みの中で、現在のCO2排出量の可視化や将来目標の設定まではできても、それをどうやって実現していくか、現場への落とし込みに苦労しているという声がある。そこで「Cayzen」が支援する改善提案制度をカーボンニュートラルへの取り組みに応用し、CO2削減活動の可視化を実現している。

 具体的には、SAPのBIシステムと「Cayzen」を連携し、現場から上がってくるCO2削減に向けた改善活動のデータを集約する。これにより各事業所、工場ごとのCO2削減アイデアの提案数やその効果が見えるようになる。「Cayzen」はその運用が評価制度とも連動するので、CO2削減に向けた活動のオペレーションの効率化や提案数増加に向けたモチベーションを高く保つことが可能になる。

 改善提案という多くの企業で馴染みのある取り組みをCO2削減に応用することによって、スムーズなオペレーションを実現しつつ、現場一人ひとりがその責任を実感させることに成功しているところが「Cayzen」の最大のメリットといえるだろう。

サステナブルな分散型発電インフラをマイクロ水力発電で実現する
株式会社ユームズ・フロンティア

 株式会社ユームズ・フロンティアは手軽に簡単に手ごろな価格で導入できる小型の水力発電装置「Crutto」の開発と製造を行っている。「Crutto」は2~3キロワット程度の発電能力を持ち、これを高層ビルや工場、あるいは地域の浄水場などの配管に設置し、分散型の電力インフラを構築することを目指している。

株式会社ユームズ・フロンティア 代表取締役 林 優 氏

 同社代表の林優氏は、東日本大震災の際に大規模発電施設による集中発電インフラに危機感を抱いたことが開発のきっかけになったと語る。「Crutto」の設置には1秒あたり4リットルの流量で高さが4メートル以上の配管であればどこでも設置が可能なので、都心のビル街などでの利用にも適している。

「Crutto」を設置したビル同士での余剰電力の相互供給などにも対応しており、カーボンニュートラルという環境面からだけでなく、安定的なエネルギーの共有実現の面からも有効なソリューションとなりうる。また、海外におけるマイクロ水力発電(発電出力100キロワット以下)の市場規模が5兆円と推定されているというビジネス面でも将来性を感じさせる。

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